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秋の桃李で元気を取り戻す一杯

秋になると、桃や李(すもも)が実り、芳しい香りが漂います。「桃李天下に満つ」という言葉が象徴するのは、師の徳を受けて多くの人材が育つことですが、体を養い、失われた元気を取り戻す力も秘めています。長寿の果実といわれる桃に、すももを組み合わせれば、その相乗効果はまさに言葉では言い表せないほどです。
 

桃と李の組み合わせ――「病を逃れる」縁起の味

古くから「桃は逃(とう)、李は離(り)」と読まれ、二つを合わせると「病から逃れ、離れる」という意味が込められてきました。
 
初秋はまだ暑さが残り、津液(体の潤い)が不足しやすく、疲労感や食欲不振を覚えることが少なくありません。ちょうどこの季節は桃やすももが豊かに実り、まるで人のために自然が訪れて来るかのようです。

実る桃(Shutterstock)

 
は温性で脾胃を養い、甘酸っぱくみずみずしい果実。血を養い、体の潤いを生み出す働きがあり、暑さで失われた津液や気血を素早く取り戻す助けになります。また、血流を促して血管の詰まりを防ぐ力もあり、まさに「寿桃(長寿の桃)」と呼ばれるにふさわしい果実です。
 
李(すもも) は甘酸っぱく、やや涼性で、熱を冷まし乾きを癒す果実。残暑のほてりや心身の落ち着かなさを和らげてくれます。ただし、胃腸の弱い人は食べすぎに注意が必要です。
 
桃と李を合わせることで、「病から逃れる」という意味が込められ、初秋における陰陽の気の切り替わり(季節の変わり目)で生じる不調を和らげることができます。
 
さらに ぶどう を加えれば、気血を補い、体力を素早く回復させてくれます。疲労をやわらげ、目の疲れにも効果的です。
 
桃・李・ぶどうの三種が揃えば、気血を補い、体の熱や乾きをやわらげ、喉の渇きをすっきりと癒してくれます。さらに血流をスムーズにし、弱った胃腸の働きも整えてくれるのです。果汁にすれば吸収が早く、すぐに元気を実感できます。
 

秋のすももと桃の養生ジュース

材料(2〜3人分)

  • 白桃……1個(皮と種を除く)
  • すもも……2個(種を除く)
  • ぶどう……200g(洗って種を取る)
  • はちみつ……小さじ1(好みで)
  • ぬるま湯または常温の水……200ml

作り方

  1. 果物は一口大に切る。
  2. ミキサーに果物と水を入れて撹拌し、ジュースにする。
  3. 口当たりをやわらかくしたい場合は、はちみつを加える。
  4. 栄養が逃げないうちにすぐ飲むのがおすすめ。

効能

口に含むとやさしく爽やかで、肺を潤し、喉の渇きを癒し、血を養って気を補うはたらきがあります。

  • 桃:津液を補い、血流を促す。
  • すもも:熱を冷まし、乾きをいやす。
  • ぶどう:元気を補い、疲労を回復させる。

秋に宿る自然の力を凝縮した一杯のジュースは、夏の疲れで元気を消耗した体をやさしく修復し、秋からの恵みをも与えてくれます。
 

飲み方の注意

  • 飲むのは 午前10時ごろ または 午後3〜4時ごろ がおすすめ。喉の渇きやだるさを和らげてくれます。
     
  • 空腹時に冷たいまま飲むのは避けましょう。脾胃(胃腸)を冷やす原因になります。
     
  • 1日1杯を目安に。過ぎればかえって害になります。
     
  • 食前なら少量、胃腸の弱い方は食後30分以降がおすすめです。
     
  • ぶどうと桃は糖分が多いため、糖尿病の方は必ず医師の指導を受けてください。