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白露が来て秋の気配 黄や白の食材で体を整えよう

処暑が過ぎて、白露が来ると秋らしさがはっきり

9月7日、処暑が終わり白露を迎えると、夏の強い暑さは弱まり、秋の気配がはっきりしてきます。朝晩は涼しくなり、昼間はまだ暑さが残りますが、朝の草には透明な露がつくようになります。

葉っぱに露が滴る(Shutterstock)

昔の人は「白露は霜の始まり」と言いました。これは「秋の気が働き始めた」というサインで、自然の流れが夏から秋へ切り替わっていることを教えてくれています。

ただ、今年の気の流れは少し特別です。木のエネルギーが強く、金のエネルギーが弱く、さらに湿気が多く重い状態です。本来なら秋は「金のエネルギー」が一番強くなるはずですが、それが十分に働けず、木と湿気に押さえつけられています。

秋は「肺」が大事 強く働く必要がある

五行(木・火・土・金・水)は自然のエネルギーのサイクルで、人の体の臓器(肝・心・脾・肺・腎)ともつながっています。

秋は「金」に属する肺が一番活発になる季節です。秋の特徴は「収めること」で、果物が実り、葉っぱが落ちて土に戻るように、自然の力が外へ広がる春夏とは逆に、内側に戻っていく流れになります。肺もこの動きに合わせて、下へしっかりと気を降ろす必要があります。
 

今年は脾と肺が弱りやすく、気を収める力が足りない

今年は木のエネルギーが強すぎて肝が暴れ、脾(消化器系)を傷つけています。さらに湿気が重くのしかかり、胃腸がうまく働きません。

胃腸が弱ると、食べたものを下に送る力がなくなり、胃が張ったり痛んだりします。すると、上にある肺の気の流れも詰まり、胸が苦しくなったり息がしづらくなります。その熱が心にも影響し、肺は乾燥や熱で傷つきやすくなります。

そのため、白露の時期になると、乾いた咳、胸のつかえ、胃腸の不調、体のだるさ、気分の重さなどを感じる人が多いのです。これは五行の気の流れが切り替わるときの乱れによるもので、肝が強すぎることで脾と肺が一緒に弱っているのです。

白露の養生のポイントはとてもはっきりしています。
 

黄や白の食材は自然からの「おくりもの」

自然のリズムは食材にも表れます。白露を過ぎると、市場には梨、山芋、かぼちゃ、枝豆、秋刀魚などの旬の食材が並びます。これらはただ「おいしい」だけの食べ物ではなく、自然が与えてくれる薬のような存在です。

秋の味覚(Shutterstock)

:甘くてみずみずしく、白い色は肺に働きかけます。肺の熱を冷まして潤すので、喉の乾きや咳にぴったり。

山芋:なめらかで優しい味わい。土の中で育ち、白い色をしているので脾を補い、肺も元気にしてくれます。脾と肺を一緒に強くします。

かぼちゃ:黄色は「土」を表し、脾を元気にして湿気を取り除き、体の重さを軽くしてくれます。

枝豆:緑は「木」に属し、肝に働きます。肝の熱を鎮めて気をなだめ、脾胃の働きを助けます。黄や白の食材の効果をさらに高めてくれます。

秋刀魚:銀白色は金のエネルギーを象徴します。脂がのっていて潤いを与え、肺を潤して乾燥を防ぎます。免疫力も高めてくれます。

これらの食材は五行の特徴を持っていて、特に黄や白の食材は今の季節に弱りやすい脾と肺を補うのにぴったりです。上手に組み合わせれば、家庭で作る料理でも自然の流れに合った体づくりができ、五臓を整えることができます。
 

白露の養生料理:かぼちゃと山芋の秋刀魚煮

かぼちゃと山芋の秋刀魚煮 料理イメージ写真

おすすめの人:
白露の時期に、喉が乾いてかゆい・咳が出やすい・胸が重苦しい・食欲がない・疲れやすい人にぴったりです。

材料(2人分)

  • 秋刀魚 … 2尾
  • かぼちゃ … 200g
  • 長芋 … 150g
  • 玉ねぎ … 1/2個
  • 生姜 … 3枚
  • 醤油 … 大さじ1
  • みりん … 大さじ1
  • 日本酒 … 大さじ2
  • 水 … 300ml
  • 塩 … 少々

作り方

  1. 秋刀魚は頭・内臓を取り除き、ぶつ切りにして塩をふり10分ほど置く。
  2. かぼちゃは大きめに切り、山芋は乱切り、玉ねぎは薄切りにする。
  3. 鍋に水・日本酒・生姜を入れ、かぼちゃと秋刀魚を入れて10分煮る。
  4. 山芋と玉ねぎを加え、醤油とみりんで味を整え、弱火で煮込む。
  5. 汁が濃くなったら塩で味を調える。
  6. かぼちゃはほっくり、山芋はなめらか。秋刀魚の脂がスープに溶け込み、
  7. ねぎと生姜の香りと一緒に湯気が立ちのぼり、体にやさしい一品です。

養生のポイントと食べ合わせ

かぼちゃ … 脾を元気にし、湿気を取り除く。
山芋 … 脾と肺をつなぎ、両方を補う。
秋刀魚 … 肺を潤し、体にエネルギーを補う。
玉ねぎ … 肝の気を和らげ、肺を潤し、胃の働きを助ける。

この煮物は「肝・脾・肺」のバランスを整え、五臓がスムーズに働くようにしてくれます。食べれば体と心が落ち着きます。

さらに、枝豆を副菜にすれば肝の火を抑え、腎や脾をサポート。食後に梨を食べれば、肺を潤し熱を鎮め、冷えが胃腸を傷めるのを防いでくれるので、効果は一層高まります。
 

季節に合わせるのが一番の養生

節気の養生は難しいことではなく、自然の流れに合わせるだけです。白露になると秋の気は「収める方向」に動くので、体もそれに合わせて整える必要があります。

逆らえば、肺の気が収まらず、陽気が外に漏れたり、浮いたりして病気を招きます。しかし、自然に従い旬の煮物を一皿食べるだけで、体はスムーズに季節を乗り越えることができます。

五行と五臓はつながっており、節気に合わせて食事をすることは、天地のリズムに合わせること。そうすることで、人は健康で長生きできるのです。
 
 (翻訳編集 華山律)

白玉煕
文化面担当の編集者。中国の古典的な医療や漢方に深い見識があり、『黄帝内経』や『傷寒論』、『神農本草経』などの古文書を研究している。人体は小さな宇宙であるという中国古来の理論に基づき、漢方の奥深さをわかりやすく伝えている。