中国の港では、出荷を待つBYDのEV車が山のように積み上げられている。(STR/AFP via Getty Images)

中国EV産業に迫るバブル崩壊 過剰生産・株売却・リコールで危機深刻化

中国の電気自動車(EV)産業をめぐり、BYD株式の全売却やシャオミの大規模リコール、新興メーカーの赤字転落など“バブル崩壊”の兆候が相次いでいる。過剰生産と過激な価格競争が中国EV市場の根底を揺るがし、業界再編と消費者への影響が懸念されている。

9月22日、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が中国EV大手「BYD」の株式をすべて売却したことが明らかになった。わずか3日前の19日には、小米(シャオミ)汽車が主力EV「SU7」を安全上の理由で11万台リコールした。さらに上半期決算では、中国の自動運転関連上場企業10社のうち8社が赤字に転落したことも公表されている。相次ぐ悪材料は、中国EV市場の過剰成長に深刻な陰りが見えていることを示している。

統計によれば、中国の自動車生産は2024年に3128万台に達し、前年比3.7%増となった。そのうちEVやハイブリッドなどの「新エネルギー車」は約1289万台で、前年比3割超の増加となり、新車販売全体の4割を占めている。しかし需要が追いつかない中でも、政府目標に沿って生産が拡大しているのが実情である。

▶ 続きを読む
関連記事
中共が誇示してきた「一帯一路」は行き詰まりを見せており、世界の少なくとも14か国で労働者への賃金未払いが発生していると指摘されている。​
キヤノンは、中国・広東省中山市にあるプリンター工場を事実上閉鎖した。日中関係が急速に冷え込む中、同工場の生産停止は中国からの生産移転と戦略的撤退の象徴として受け止められている
中国経済の悪化が続く中、多くの若者が失業や低賃金に苦しみ、親の援助に頼って生活している
かつては国際資本の非常に人気のある投資先であった中国市場は、現在では高リスクの環境とみなされている。
中国共産党のマネーロンダリングは、麻薬カルテルを助けるだけではない。世界的な違法経済を拡大し、北京の地政学的野望を後押ししている。