沈黙の国が揺れた
俳優・于朦朧の死が呼び覚ます中国社会の覚醒
中国の人気男性俳優・于朦朧(ユ・モンロン/アラン・ユー、37歳)の不可解な死から1か月。ひとりの俳優の死が、沈黙していた人々の心に火をつけ、封じ込められていた怒りと不信を噴き上がらせた。
中国当局は、情報拡散者の逮捕からSNSの徹底検閲に至るまで、空前の規模で言論統制を強化し、事件を力づくで沈静化させようとしている。だがその試みをよそに、厳しい封殺の中でも中国国内では隠語や暗号を使った議論が続き、やがて彼の名を暗示する「魚(中国語発音:ユー)」や、権力の闇を象徴する「傘」の文字やマークまでもが検閲対象となった。
それでも「真相を求める声」は止まらない。
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「于朦朧事件」連載第2回。沈黙を強いられる地上で何が起きているのか。世界では「Justice for Alan Yu(アラン・ユーに正義を)」の声が響いている。
国家ぐるみの隠ぺいと封殺。
地上で正義が得られないとき、人々は別の領域に答えを求め始める。
第1回「霊界からの追跡」。
中国人俳優・于朦朧(アラン・ユー)の死をめぐり、中共が空前の検閲。投稿が消され、市民は出前アプリの「メモ欄」に真相を求める訴えを書き込んだが、当局はその機能すら封鎖した。
2か月経っても沈まない波紋。中国俳優・于朦朧事件、国家権力の闇を追う連載、始まります。
中国俳優・于朦朧の死は「酒の事故」ではなく、権力の闇を暴こうとした代償。名前すら禁じられる中、配達メモで真実を訴える人々がいる。