夜11時前に寝て 肌の黄金修復時間を解き放つ

中医学師の周宗寒氏は、夜遅くまで患者を診ることが多く、以前は夜更かしが習慣になっていました。仕事は夜10時まで続き、時には11時に帰宅することもあり、帰宅後はテレビを見ながら夜食を取り、リラックスするのが日課でした。

「お腹が出てきて、顔がむくみ、目の下にクマができ、まぶたも腫れていました」と、周氏は新唐人TVの番組『健康1+1』で語っています。

ある日、患者から「なぜ10歳も老けて見えるのですか」と聞かれたことをきっかけに、このまま夜更かしを続けてはいけないと気づいたそうです。

周氏の体験は決して珍しいものではなく、睡眠に関するシンプルな事実を改めて浮き彫りにしています。「美容睡眠」は単なる言葉ではなく、生物学的な観点からも一定の裏付けがあります。夜間、体は組織の修復、エネルギーの回復、老廃物の排出、ホルモンや神経の調整を行いますが、睡眠が不足するとこうした再生プロセスが十分に働かず、その影響が肌に現れやすくなります。

周氏は、睡眠の長さだけでなく、継続性や質も美しさと密接に関係しており、スキンケア製品の効果以上に重要だと指摘しています。
 

体の黄金修復時間

中医学の経絡理論では、体には経絡と呼ばれるエネルギーの通り道があり、各臓器のエネルギーは1日の中で特定の時間帯にピークを迎えると考えられています。夜11時から午前3時は、体にとって重要な修復の時間帯とされ、11時から1時は胆経、1時から3時は肝経が優勢になるとされています。

胆はストレスや緊張の解放に関わり、肝は血流やホルモン、感情のバランスを支える役割を担うと考えられています。この時間帯に眠っていると、体はデトックスや循環の回復、神経系の鎮静に集中しやすくなります。

一方、この時間に起きていると修復の流れが乱れ、エネルギーが活動や刺激の方向に向かいやすくなり、デトックスや組織修復、ホルモンバランスの調整に十分使われにくくなります。こうした状態が長く続くと、熱のこもり、血行不良、炎症などにつながるとされ、中医学ではくすみ、むくみ、ニキビ、老化の進行と関連づけられることがあります。

現代の研究でも、睡眠のタイミングと肌の健康との関係が示唆されています。2022年に219人の若い女性を対象に行われた研究では、総睡眠時間が同じであっても、定期的に夜11時以降に就寝する人は、肌の健康状態が有意に低い傾向にありました。遅く寝る人は、肌の乾燥、弾力やハリの低下、皮膚バリアからの水分損失の増加、しわの増加が見られ、顔のマイクロバイオーム(肌を守る微生物群)の多様性も低く、有用な細菌が減少していました。この研究では、遅い就寝が皮膚バリアの弱化やマイクロバイオームの乱れ、老化の進行と関連する可能性が示されています。
 

遅寝と質の悪い睡眠の代償

中医学では、肝系はエネルギーや感情のスムーズな流れと関係すると考えられています。現代科学の視点でも、夜間の肝の働きは、心拍、消化、血流、肌の修復を調整する自律神経系の働きと重なる部分があります。

遅くまで起きていると、体は「闘争・逃走」モードに近い状態が続き、血流が脳や筋肉に優先的に送られ、肌には十分に届きにくくなります。これが日常的に続くと、慢性的な軽度炎症、皮脂分泌の過剰、コラーゲン修復の遅れ、経皮水分損失の増加などにつながり、結果としてくすんだ肌印象になりやすいと考えられます。

このように見ると、中医学でいう「肝が流れを整える」という考え方が、より具体的に理解できます。遅寝の習慣で神経系が過剰に刺激されると、血行の滞りや肌修復の遅れが生じ、老化が進みやすくなる可能性があります。

また、早く寝るだけでは不十分で、深く途切れない睡眠が重要です。質の低い睡眠は夜間のコルチゾールを高め、肌の修復を遅らせ、細胞のターンオーバーやコラーゲンの維持に影響を与えるとされています。健康的で若々しい肌には、睡眠のタイミングと質の両方が欠かせないと、周氏は述べています。

2015年の研究では、睡眠の質が肌老化の見た目や皮膚機能に与える影響が調べられました。60人の健康な女性を睡眠の質と持続時間によって「良好」「不良」の2群に分け、細かいしわ、不均一な色素沈着、弾力低下などの老化兆候を評価したところ、睡眠の質が低い群では、内因性老化の兆候が有意に多く、皮膚バリアの回復低下や紫外線後の治癒の遅れが見られました。また、自身の外見を魅力的だと感じにくい傾向も示されました。

患者の言葉をきっかけに、周氏は生活と睡眠習慣を見直す決意をしました。夜の診察後は集中力が高まり、すぐに眠るのが難しかったため、仕事後に運動を取り入れるようにしたそうです。「最初は有酸素運動やトレッドミルを試しましたが、走るほど目が冴えてしまい、睡眠に影響しました。その後、ウェイトトレーニングに切り替えると体が落ち着き、シャワーの後は以前より早く眠れるようになりました」と語っています。

研究でも、ウェイトトレーニングなどのレジスタンス運動が、睡眠の質を改善する可能性が示されています。
 

セルフヘルプのヒント

周氏は、夜11時までに眠ることで美容睡眠の恩恵を受けやすくなると考えています。仕事などで就寝が遅くなる場合でも、生活習慣を調整することで影響を和らげることは可能です。

  1. 十分な睡眠を確保:体をしっかり休ませるため、7~8時間の睡眠を目安にしましょう。
     
  2. 就寝前の食事を避ける:夜食は胃に負担をかけ、消化を妨げやすくなります。夕食と就寝の間は、少なくとも2~3時間空けるのが理想です。また、就寝前の過剰な水分摂取は夜間頻尿につながり、睡眠の質を下げることがあるため控えましょう。
     
  3. 睡眠スケジュールを徐々に調整:早く寝ようとしてベッドで無理に待つと、かえってストレスになります。就寝時間と起床時間を1日30分ずつ早めるなど、体内時計を少しずつ調整していきましょう。
     

眠れないときの対処

疲れているのに眠れない人もいます。長い一日の後で体は疲れていても、ベッドに入ると頭が冴え、体が落ち着かず、なかなか眠れない状態です。中医学ではこれを「陽が入陰せず」と表現し、日中の活動エネルギーが夜の休息モードへ切り替わらない状態と考えます。

中医学では、宇宙と人体は陰陽のバランスによって働くとされます。日中は陽が優勢で、行動や思考、判断、外向的な活動を司ります。夜になると陰が自然に優勢となり、休息や回復、内側の修復へと導きます。

ストレス、長時間労働、感情的な緊張、過剰な刺激によって陽のエネルギーが活動モードに留まると、夜になっても陰に移行できず、次のような症状が現れやすくなります。

  • 入眠困難
  • 浅い眠り
  • 夜間の落ち着かなさ

酸棗仁(さんそうにん)の煎じ茶

心を落ち着かせ、神経系を整え、陽のエネルギーを内側へ導くことで自然な睡眠を促す処方として、酸棗仁湯が知られています。

主な目的:心や肝の陰を養い、神を落ち着かせ、不安を和らげること。

適する人:夜に頭が冴える、疲れているのに興奮している、夜中に何度も目が覚める人。

主成分の酸棗仁は、中医学で不眠に広く用いられてきた素材です。現代の研究でも、これらの種子がセロトニン系に関与し、睡眠・覚醒リズムや気分、リラックスに関係する可能性が示されています。

簡単な家庭用レシピ

古典処方ほどの強さはありませんが、日常的に取り入れやすい穏やかなサポートになります。

材料

・酸棗仁 10~15g
・乾燥竜眼肉 5~8g
・新鮮または乾燥した百合 10~15g
・水 2カップ

作り方

1.酸棗仁を軽くつぶし、有効成分が出やすいようにします。
2.すべての材料を小鍋に入れ、水2カップを加えます。
3.弱火で20~30分煮ます。
4.濾して、就寝1時間前を目安に飲みます。

この穏やかな滋養飲料は、心を静め、神経を落ち着かせ、安眠をサポートすると考えられています。

注意:中医学の処方は、特に妊娠中、服薬中、慢性疾患がある場合は、必ず資格を持つ医師に相談してください。上記のお茶は比較的穏やかで、食品レベルの一般的なリラックス目的のものですが、医療行為の代替となるものではありません。

(翻訳編集 日比野真吾)

歴史と国家安全保障の修士号を持つ退役軍人である。エポックタイムズに意見記事を執筆。
英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。