手の震え・めまいに 春の体調を整える食養生
春の清明の頃、強い風がよく吹きます。そのため、多くの人が手の震え、動悸、めまい、驚きやすさ、寝つきの悪さを感じます。中医学では「春は肝に属し、風は春の主気である」とされ、風が動くと肝も動きます。肝は筋を主り、筋は木の枝のようなものです。風が吹けば枝が揺れるように、筋も乱れ動き、「筋のけいれん、手の震え、動悸」といった症状が現れます。
特に、肝血不足、腎陰虚(腎の陰の不足)、肝陽亢進の人は「肝風内動(体内で風が起こる状態)」が起こりやすく、これらの症状が現れやすくなります。そのため、春の養生では肝血を補い、腎陰を養い、脾気を整え、筋脈を柔らかくすることが大切です。
以下は、日本の食材と中医学の考え方を組み合わせた、日常の調整に適した五つの食養生です。
① 赤味噌とごまのほうれん草和え
効能:肝腎を補い、筋脈を潤す
適する方:手足のけいれん、筋のこわばり、めまいのある人
材料(2人分)
- ほうれん草 100g
- 赤味噌 大さじ1/2
- 白ごま 大さじ1
- 酢 小さじ1
- ごま油 少々
作り方:
ほうれん草を下ゆでして切り、調味した味噌ごまだれと和えます。冷やして食べるとさっぱりしています。
中医学解説:
ごまは肝腎を補い筋脈を潤し、ほうれん草は血を養い精神を安定させます。赤味噌は体を温め精を固める働きがあり、「枝のように揺れる筋」の体質に適しています。
②味噌かぼちゃスープ
(shutterstock)
効能:脾を健やかにし気を補い、精神を安定させ睡眠を助ける
適する方:春のだるさ、疲労感、眠りが浅い人
材料(2人分)
- かぼちゃ 150g
- 玉ねぎ 1/4個
- 白味噌 大さじ1
- 昆布だし 400ml
作り方:
かぼちゃを切り、玉ねぎをスライスして昆布だしで柔らかく煮ます。味噌を加えて混ぜれば完成です。
中医学解説:
かぼちゃは中を補い気を増やし、精神を安定させます。玉ねぎは気の巡りを良くし鬱を解消します。白味噌は脾を養い調和するため、春に適したあっさりした滋養スープです。
③紫蘇と豆腐の巻き物
効能:肝の気を巡らせ、湿を取り胃を整える
適応:ストレスによる気の滞り、食欲不振の人
材料(2人分)
- 大葉(紫蘇)6枚
- 絹ごし豆腐 1丁(約300g)
- 米酢 小さじ1
- 醤油 小さじ1
- ごま 少々
作り方:
豆腐を蒸して水気を切り、棒状に切って紫蘇で巻きます。タレをかけて冷やしていただきます。
中医学解説:
紫蘇は気を整え湿を取り、風を発散させます。豆腐は熱を冷まし乾燥を潤します。「肝鬱脾虚(ストレスと消化力低下)」の人に特に適しています。
④麦入り昆布ご飯
効能:心の気を養い、脾胃を整え、精神を安定させる
適応:動悸、めまい、イライラや不安がある人
材料(2人分)
- 玄米 1カップ
- 小麦粒 1/4カップ
- 昆布 10cm
- にんじん 1/4本
- 醤油 小さじ1
作り方:
玄米と小麦を洗って浸水し、一緒に炊きます。にんじんと昆布は柔らかく煮て刻み、ご飯に混ぜて醤油で味付けします。
中医学解説:
小麦は心の気を養い精神を安定させます。昆布は硬さを和らげ熱を冷まし、玄米は脾を健やかにして気を補います。イライラや不安のある体質に適しています。
⑤大根と豆腐の煮込み
効能:気を巡らせ痰を除き、脾胃を整える
適応:気の滞り、胸のつかえ、消化不良の人
材料(2人分)
- 大根 150g
- 木綿豆腐 1丁(約300g)
- しいたけ 2枚
- 昆布だし 500ml
- 醤油 少々
作り方:
大根を切り、豆腐を厚切りにし、戻したしいたけとともに30分ほど煮込みます。あっさりとした旨味が特徴です。
中医学解説:
大根は痰を除き気を下げ胃を養います。豆腐は熱を冷まし潤いを与えます。しいたけは脾胃の働きを助け、腎を補い肺を強くし、肝を穏やかにして肝風を鎮めます。風が強く湿気の多い時期の調整に適しています。
筋は枝のように、風で揺れ動く——食事から始める肝と筋の養生
春風は鋭く、体内の風を乱します。人体の「筋」は木の枝のようなもので、風が吹けば揺れ動き、けいれんや手の震え、動悸が起こりやすくなります。特に肝血不足、陰虚火旺(体内の潤い不足と熱の亢進)、筋脈の栄養不足のときに顕著です。養生では春の上昇する気に従い、肝腎を補い、脾気を整え、内熱を冷ますことが重要です。
以上の五つの食養生は、家庭で手に入りやすい食材を用い、寒熱に偏らないバランスのよい養生法です。実用的で美味しく、作り方も簡単で分量も適度なため、日常の体調管理に適しています。