微生物の専門家が明かす 毎日頻繁に触れる「最も汚れやすい日用品」

ドアノブ、リモコン、スマートフォン。ごくありふれた日用品に潜む細菌は、想像以上に多いかもしれません。

実は、本当に注意すべきなのは、見た目が最も汚れている場所とは限りません。毎日頻繁に触れているにもかかわらず、見落とされがちな物こそ注意が必要です。以下の日用品は、微生物の専門家が定期的な清掃を呼びかけている主な物です。

ドアノブ

公共の場所でも家庭でも、ドアノブは人が最も頻繁に触れる物の一つです。台湾の国立嘉義大学微生物免疫・生物薬学科の王紹鴻教授は、エポックタイムズの取材に対し、特に外出先から帰宅した際、バスに乗ったり、買い物をしたり、外食したりする中でさまざまな公共物に触れていると、手にリスクのある病原菌が付着している可能性があり、ドアを開ける際にそれらの微生物がドアノブに移りやすいと話しています。

公共の場所や医療機関のドアノブを対象としたレビュー研究では、ウイルス汚染率は17.73%で、約6個に1個のドアノブからウイルス汚染が検出されました。中でも最も多かったのはロタウイルスで、子どもの胃腸炎を引き起こす主な原因の一つです。
 

リモコン

王氏によると、さまざまなリモコンは通常、複数の家族で共用され、時には来客が使うこともあるため、表面に病原体が付着しやすいといいます。

また、鼻をかんだり、くしゃみをしたり、ティッシュを捨てたりする際に、飛沫がリモコンの表面に飛び散ることもあります。さらに手で触れることで、風邪などの呼吸器系ウイルスが、こうした頻繁に共用する物に付着する可能性があります。

リモコンの清掃方法について、王氏は、まず電池を取り外し、少し湿らせたティッシュで汚れを拭き取った後、70%のアルコールまたは市販の除菌シートでボタンや隙間を拭き、約1分間湿った状態を保って除菌してから自然乾燥させることを勧めています。少なくとも週に1回は消毒し、同居する家族が病気の時は、できれば毎日清掃するとよいとしています。

また、消毒剤を使用する前には、表面の汚れを十分に取り除く必要があると注意を促しています。そうしなければ消毒効果に影響し、一部の細菌が生き残る可能性があります。細菌が濃度の不十分な消毒剤に長期間さらされると、薬剤耐性を持つ微生物が選択される機会が増える可能性もあります。
 

パソコンのキーボードとスマートフォン

スマートフォンやパソコンは、学生や会社員が特に頻繁に使用する物です。病院や学校、オフィスなど人の出入りが多い場所では、病原体が飛沫や手を介して物の表面に付着する可能性があります。スマートフォンやパソコンは、微生物や病原体を持ち運ぶ「移動式の貯蔵庫」になる可能性があります。

パソコンを使いながら食事をすると、食べかすがキーボードの表面や隙間に落ちやすくなります。また、ほこりは水分を吸収するため、もともとキーボードに付着していた細菌が繁殖しやすくなります。

あるレビュー研究では、調査対象となったほぼすべてのキーボード(96.7%)から微生物汚染が検出されました。また別の研究では、調査した25台のスマートフォンのうち23台から、ブドウ球菌などの細菌汚染が検出されています。一方、抗菌シートで簡単に消毒した後は、約6割のスマートフォンの表面から細菌が検出されなくなりました。

スマートフォンやパソコンのキーボードの清掃について、王氏は、一部のスマートフォンはアルコールで直接拭くのに適していないため、薄めた中性洗剤と柔らかいブラシを使って簡単に清掃する方法を勧めています。パソコンのキーボードは、定期的にほこりを取り除き、拭き掃除や消毒を行うとよいとしています。近年は防水設計のキーボードやマウスも多く、製品の説明に従って洗浄できます。
 

シーツ

一見きれいに見えるベッドも、実は微生物が好む環境の一つかもしれません。毎晩、体から出る汗や剥がれ落ちた皮膚片、残った湿気は、いずれも細菌や真菌が増殖するための栄養源になる可能性があります。

研究によると、シーツの下半分、つまり脚や足が触れる部分で細菌汚染の程度が最も高く、男性が使用するシーツは全体的な細菌量も有意に多いことが示されています。

王氏は、シーツや布団カバーなどの寝具を少なくとも月に1回洗濯し、掛け布団は定期的に日光に当てて、内部の湿気を取り除くことを勧めています。シーツや布団カバーに目立つカビやひどい黄ばみが見られたり、洗っても取れない臭いがあったりする場合は、処分したほうがよいとしています。
 

浴室用品

浴室で最も汚れやすい物は、トイレとは限りません。特にタオルは、微生物が繁殖しやすい温床になりがちです。浴室はもともと温度と湿度が高く、入浴後に残る皮膚片や皮脂も、微生物が増殖しやすい環境をつくります。タオルを1~2日置いておくと、特に蒸し暑い時期には油が酸化したような臭いがすることがありますが、実はこれは微生物の代謝によって生じる臭いです。

多くの人はトイレが家の中で最も汚い場所だと考えていますが、王氏によると、便器内の微生物の多くはもともと人体に由来するため、過度に恐れる必要はないといいます。ただし、水を流す際に便器内の微生物が飛び散り、近くのタオルなどの表面に付着する可能性には注意が必要です。

うがい用のコップ、ボディスポンジ、ボディブラシなども、長期間湿った環境に置かれ、飛沫に触れ続けることで細菌が蓄積しやすくなります。特にカミソリは、手動式でも電動式でも、皮膚や皮膚片、微生物に触れるため、湿った環境では細菌が繁殖しやすくなります。

王氏は、タオルを乾燥した状態に保ち、定期的に交換・洗濯することを勧めています。異臭があり、洗っても改善しない場合は交換したほうがよいとしています。歯ブラシスタンドやうがい用コップなどの浴室用品は、簡単に水ですすぐだけでなく、ブラシを使ってしっかり洗うことが大切です。
 

メイクスポンジ

これらの日用品のほか、メイク道具も見落とされやすい汚染源の一つです。王氏によると、近年よく使われているメイクスポンジの多くは、スポンジ状の合成素材でできています。使用前後に洗うことはできますが、内部に水分が残り、完全に乾燥できない場合は、微生物が繁殖する場所になる可能性があります。

王氏は、メイクスポンジの清掃では、素材を傷めないようにしながら微生物を減らすことが基本だとしています。普段は使用するたびに、刺激の少ない洗浄剤で一度洗い流します。さらに週に1回、より丁寧に洗浄します。まず、ぬるま湯でメイクスポンジを十分に濡らし、押して中の空気を抜きます。その後、刺激の少ない洗浄剤または石けんを使ってもみ洗いし、泡立てます。何度か押し洗いした後、流水のぬるま湯で泡をしっかり洗い流します。洗浄後は清潔なタオルで押さえて水分を取り、最後に完全に乾かしてから収納します。異臭や破損が見られた場合は処分します。
 

コンタクトレンズケース

コンタクトレンズは丁寧に洗浄していても、レンズケース自体の清掃を見落としている人は少なくありません。王氏によると、長期間、消毒液ですすぐだけで定期的にこすり洗いをしていない場合、耐性の強い一部の微生物がケース内にバイオフィルムを形成し、付着・蓄積し続ける可能性があります。

王氏は、レンズケースに残った古い保存液を毎日捨て、新しい保存液でケースをすすぐことを勧めています。水道管内の微生物による汚染を避けるため、水道水の使用は避けます。洗浄後はふたを開け、風通しのよい場所で十分に乾燥させます。また、3か月ごとに新しいケースへ交換することが勧められています。
 

バッグ

ハンドバッグをはじめとする各種バッグも、見落とされやすい汚染源です。外出時、バッグはレストランの床や荷物かごなど、さまざまな場所に置かれることが多いため、外部の微生物が付着し、そのまま家の中へ持ち込まれる可能性があります。

王氏は、素材に応じて適切な洗浄剤を使い、定期的にバッグの表面を拭いたり、ブラシで洗ったりすることを勧めています。特にバッグの底を見落とさないよう注意が必要です。
 

よく見られる汚染病原菌

王氏によると、頻繁に触れる物の表面では、黄色ブドウ球菌、大腸菌、腸球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌などによる汚染がよく見られます。

黄色ブドウ球菌は一般的な潜在的病原菌で、皮膚感染症や、場合によっては命に関わる血液感染症を引き起こし、全身性の合併症につながる可能性があります。大腸菌は、尿路感染症、新生児髄膜炎、敗血症など、さまざまな感染症を引き起こす可能性があります。腸球菌は、心内膜炎、腹腔内感染症、尿路感染症などの原因になることがあります。肺炎球菌とインフルエンザ菌はいずれも呼吸器感染症を引き起こす可能性があり、重症化すると肺炎や髄膜炎につながる場合もあります。

王氏は、感染対策で重要なのは「完全な無菌」環境を目指すことではなく、清掃と良好な衛生習慣によって病原体の感染経路を断ち、微生物が増殖しやすい環境をつくらないことだと注意を促しています。
 

バイオフィルムの除去に注意

頻繁に触れるドアノブやキーボード、洗面用品などでは、細菌が物の表面に付着した後、粘着性の物質を分泌して自らを包み込み、バイオフィルムを形成します。そのため、まずブラシで洗ったり、拭いたりして表面の汚れやバイオフィルムを取り除いてから消毒すると、一般的により高い効果が期待できます。

台湾の食品微生物学・分子生物学研究者、陳友賢氏は、エポックタイムズの取材に対し、バイオフィルムは保護壁を形成し、細菌がその中に隠れることができると説明しています。中には「休眠」に似た状態に入る細菌もあり、抗生物質や免疫系によって排除されにくくなるため、長期間生き残り、慢性感染や感染の再発につながりやすくなります。また、バイオフィルムは、糖尿病性足潰瘍や褥瘡などの慢性創傷が治りにくかったり、感染を繰り返したりする重要な原因の一つでもあります。

ただし、陳氏は、人はもともと微生物に囲まれた環境で生活していると強調しています。皮膚や粘膜のバリア機能が保たれ、免疫機能が正常で、こまめな手洗いを習慣にしていれば、こうした細菌が体の深部に侵入し、深刻な病気を引き起こすことは通常起こりにくいとしています。

(翻訳編集 華山律)

王佳宜