誰にでも起こりうる脳卒中――専門家が教える初期症状の見分け方

脳卒中は非常に恐ろしく、かつ身近な病気の一つです。発症はいつどこで、誰にでも突然起こり得るものであり、倒れて立ち上がれなくなったり、一生寝たきりになったり、命を落とすことさえあります。このような危険な病気をいかに早期に察知し、迅速に対応するかについて、専門家が詳しく解説しています。

イギリス・ロンドン・サウスバンク大学の成人看護学上級講師であり、健康福祉研究センターに所属するシオバン・マクレナン(Siobhan Mclernon)氏は、脳卒中は心臓発作と同様、非常に緊急かつ致命的な状態であると述べています。どちらも血流が突然途絶えることにより、重要な組織が酸素と栄養を失って機能を失うことで起こります。

脳卒中には主に2つのタイプがあります。

ひとつは虚血性脳卒中で、これは脳への血流が血栓によって妨げられることが原因です。酸素不足に陥った脳細胞は死滅し、運動機能や言語能力を失ったり、記憶障害を引き起こしたり、場合によっては死に至ることもあります。

もうひとつは出血性脳卒中で、脳内の血管が破れることによって起こります。これは多くの場合、高血圧が原因です。高血圧によって血管の壁がもろくなり、破れやすくなるのです。

脳卒中の治療はまさに時間との闘いです。脳が血流と酸素を失う時間が長ければ長いほど、脳細胞の損傷は広がります。虚血性脳卒中には血栓の溶解や除去、出血性脳卒中には血圧の低下が必要であり、いずれも迅速な処置によって脳の損傷を最小限にとどめることができます。

脳卒中は主に「虚血性」と「出血性」の2種類に分けられる(大紀元、Shutterstock)

 

脳卒中の初期症状をどう見分けるか?

マクレナン氏によれば、早期に脳卒中の兆候を見逃すことは、死亡率の上昇に関係しているといいます。ここ20年以上、「FAST」という頭文字で覚える方法が一般に広まり、脳卒中の早期発見と救急対応の手段として知られてきました。

この「FAST」は最も代表的な症状を押さえたものでしたが、それ以外の現れ方をするケースもあります。そのため、近年は見逃しを防ぐために「BE FAST」という形で識別法が拡張されました。以下がその内容です:
 

B(Balance:バランス)

急にふらついたり、平衡感覚や協調運動が失われる。めまいや、周囲が回っているような感覚がある。
 

E(Eyes:目)

突然、視界がぼやける、片目または両目の視力が失われる、物が二重に見える、焦点が合わないなどの視覚異常。
 

F(Face:顔)

顔の筋肉がゆがむ、表情が左右非対称になる。片側の口元や目元が垂れ下がる。
 

A(Arms:腕)

片方の腕や脚に力が入らない、またはしびれる。多くは身体の片側にだけ現れる。
 

S(Speech:言葉)

ろれつが回らない、言葉が不明瞭になる、適切な単語が出てこない、会話が困難になる。
 

T(Time:時間)

これらの症状が現れた時間を記録し、すぐに救急車を呼ぶ(時間の記録は診断・治療の助けとなる)。
 

その他の警戒すべきサイン

マクレナン氏は、脳卒中の症状は通常突然現れ、個人によって異なると述べています。特に女性の場合、「BE FAST」に含まれない症状が出ることがあり、診断が遅れる要因にもなります。女性特有の症状としては、突然の極度の疲労感、意識の混濁、吐き気、失神、全身のだるさなどが挙げられ、麻痺や言語障害のような典型的な症状が見られないこともあります。

そのほか、突発的な激しい頭痛、嘔吐、嚥下困難、興奮状態、急な記憶喪失などが現れることもあります。中には、意識を失ったり、けいれんを起こしたりするケースもあります。

また、脳卒中の症状が数分から数時間で消え、24時間以内に完全に回復することもあります。これは「一過性脳虚血発作(TIA)」、いわゆる「小さな脳卒中」の可能性があります。

TIAとは、脳への血流が一時的に途絶えたことで起こるもので、症状は一時的でも、将来的に本格的な脳卒中が起こる危険信号です。TIAによって生じた血流の遮断は、永久的な脳損傷が起こる前に自然と解消されることもありますが、それでも非常に重大な緊急事態です。

マクレナン氏はこうまとめています。「脳卒中は、予兆なく突如として起こります。素早く症状を認識し、直ちに医療を受けることが、生死を分ける決定的な差になります。BE FASTの兆候を学ぶことは、命を救うだけでなく、話す・動く・考えるといった能力を守ることにもつながるのです」

(翻訳編集 華山律)

陳俊村