トレイシー・スチュワートは政府の仕事を愛していました。給与は良く、充実した退職金制度があり、仕事の評価も高かったのです。しかし、職場のイベントで講演者から「1年後に自分の人生をどうしたいかを書き出してください」と言われたとき、彼女の中で何かが変わりました。彼女の心はキャリアではなく、約800km以上離れた故郷へと向いていたのです。
「この会議に参加して、赤ちゃんたちや夫と離れていたくありませんでした」とスチュワートはエポックタイムズに語りました。「家族と一緒にいたかったのです」
彼女の仕事には頻繁な宿泊出張が伴っており、その会議での出来事が代償を無視できなくさせました。
「『在宅で働きたい』と書きました」とスチュワートは言います。「『子どもたちと家で過ごしたい』と」
それがどう実現するのかはわかりませんでしたが、彼女は数週間祈り続け、ついに神に「しるし」を求めました。翌日、娘たちをデイケア(子どもの預かり保育施設)に送って行った際、彼女は今でこそ神の導きだと感じている思いがけない出来事に遭遇します。
娘たちのホームデイケア(家庭保育)をしていた保育者たちが州外へ引っ越すことになり、幼児教育の学位を持つ彼女に、自宅でデイケアを始めてみてはどうかと勧めたのです。その日のうちに、彼女は家庭保育施設として自宅を認可してもらうための資料を請求していました。現在、彼女はそのデイケアを20年にわたり喜びをもって運営しています。
スチュワートは、自分の未来に対して正直になることで幸せを見つけました。これは、自分が望む人生の道を歩んでいるかを判断するために誰でも使えるシンプルな鍵だと、内科専門医で職場の健康回復を目的とした企業「Restorasis(レストラシス)」の創設者サウンドラ・ダルトン=スミス医師は語ります。
自分に問いかける価値のある3つの質問
ダルトン=スミス医師はエポックタイムズに、「今生きている人生」が「自分が望む人生」に向かっているかを見極めるためのシンプルな3つの質問があると話しました。
ダルトン=スミス医師は、燃え尽き症候群の評価に使っている調査を簡略化した形でこの質問を考案しました。これらの質問を毎週自分に問いかけることで、目標から大きく逸れるのを防げるといいます。
1. 今している仕事は、自分が望むものを築いているか?
自分の使命や価値観に合った仕事をしていることと、価値が乏しく本当に望んでいることから気をそらす「ただ忙しいだけの仕事」をしていることには、大きな違いがあります。
また、自分が人生のどの段階にいるかも考慮する必要があります。それによって仕事の意味づけは変わるからです。例えば、小さな子どもを育てている時期には、創造的な仕事や時間のかかるプロジェクトを後回しにすることもあるでしょう。それは失敗ではなく、正当な選択です。
2. 今まで続けてきたことで、もう続ける必要のないものはあるか?
この質問は仕事だけに限りません。役員職・ボランティア活動・燃え尽きにつながっている人間関係上の義務など、見直しが必要なものにも当てはまります。なかには「終わりの期限」を設けるべきものもあるとダルトン=スミス医師は述べています。
3. 今と同じやり方で、5年後も同じことを続けている自分を想像できるか?
答えが「いいえ」なら、その理由を自分に問いかけてみてください。自分が何を好ましく思っていないのかを見極め、それが次の5年間に持ち越されないようにするにはどうすればよいかを考えましょう。
ダルトン=スミス医師はさらに、対立や苦闘・個人的な犠牲は成功した人生に不可欠な要素ではないと付け加えました。多くの人は、自分がどこへ向かっているのかを立ち止まって確認することなく、人生の流れにただ身を任せることに慣れてしまっています。
「人は、自分が慣れ親しんだ達成レベルを維持すること自体が一種の罠になってしまうことがあります。本当に『自分が築き上げているものや生み出しているものを好きなのか? それともただ築き続け、生み出し続けるサイクルにはまっているだけなのか?』と考えないままに」とダルトン=スミス医師は語りました。
スチュワートもまた、将来について悩みながら同じような問いについて思いを巡らせていました。友人や夫、そして神に語りかける一方で、自らを「耳を傾ける姿勢」に置いていたのです。
未来について正直になることが重要な理由
研究でも、ダルトン=スミス医師が診療の現場で見てきたことが裏付けられています。現在の感情や将来の目標に関する問いに正直に向き合うことは、全体的な幸福感に影響を与える可能性があります。
医学誌『Journal of Research in Personality』に掲載された研究では、「未来の自己との連続性」――現在の自分と未来の自分をどれだけ結びつけて感じられるか――が、人生の意味をより強く感じることと関連していると示されました。
さまざまな実験において、現在から未来にかけて変わらない自分自身の側面について文章を書いた参加者は、未来の自己との連続性が高まり、「自分らしさ」や人生の意味に関する実感も向上しました。
研究の著者たちは、未来の自己との連続性が低いことの危険性として、うつ状態につながる可能性を挙げています。一方、自分らしさを感じ未来とのつながりを持っている人は、倫理的・経済的・学業的な面でより良い判断を下す傾向があるとされています。
これから先について思い描く
来年、スチュワートの末っ子は高校を卒業します。スチュワート自身は最近修士号を取得し、人生の次のステージに備えて再び未来について自分に問いかけ始めています。
スチュワートにはいくつかのアイデアがあります。大学で幼児教育の授業を担当することや、家庭訪問型の発達支援療法を提供することなどです。スチュワートは自分に「夢を見ること」を許し、今後5年以内に訪れるかもしれない変化の可能性に心を開いています。
「デイケアが人生のこの時期における自分の天職だったと心から感じています」とスチュワートは語りました。「でも、それが生涯ずっと続く天職でなければならない、という意味ではないと思うのです。今は、新しい何かへ進むときなのです」
(翻訳編集 井田千景)
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