毎日ひとつかみのナッツを食べることは、高血圧のリスクの低さと関連している可能性があります。ただし、ナッツは多く食べればよいというものでもありません。栄養学の専門家が、ナッツがどのように血圧管理に役立つ可能性があるのか、適量や選び方のポイントを解説します。また、中医師は体質の観点から、ナッツを食べるのに適している人や、食べ過ぎに注意したほうがよい人について説明しています。
2026年に「British Journal of Nutrition」に掲載された研究では、毎日ひとつかみ(30~35g)のナッツを食べる人は、ナッツを食べない人に比べて高血圧のリスクが26%低かったと報告されています。一方で、それ以上食べても、さらなる健康上のメリットは確認されませんでした。
これらの栄養素がポイント
中華有機・自然食品協会の理事を務めるウェイン・ヤン氏は、エポックタイムズの取材に対し、ナッツは単一の成分によって作用するのではなく、血圧の調節に関係する複数の栄養素が一つのナッツに含まれていることがポイントだと話しています。
- マグネシウム:血管の平滑筋をゆるめ、血管を拡張するのに役立つとされています。アーモンド、カシューナッツ、カボチャの種、ブラジルナッツなどには、マグネシウムが比較的多く含まれています。臨床試験の分析では、マグネシウムの摂取と血圧のわずかな低下との関連が示されています。
- カリウム:腎臓からナトリウムを排出するのを助けるほか、血管の拡張にも関わっています。ピスタチオ、アーモンド、ヘーゼルナッツなどには、カリウムが比較的多く含まれています。
- L-アルギニン:体内で一酸化窒素を作るための材料となるアミノ酸です。一酸化窒素は血管の拡張に関わっており、臨床試験でもL-アルギニンと血圧の低下との関連が示されています。クルミ、ピーナッツ、アーモンドなどには、L-アルギニンが比較的多く含まれています。
- 食物繊維と不飽和脂肪:この2つは、血中脂質や血管内皮の機能を改善することに関わり、血管の弾力性を保つことで、間接的に血圧の安定に役立つ可能性があります。クルミやピスタチオなどが良い供給源です。
ナッツはおやつ代わりに 追加で食べない
ナッツに含まれるさまざまな栄養素は心血管の健康に役立つ可能性がありますが、食べ方や量も同じように重要です。
ウェイン氏は、前述の研究では、毎日ひとつかみ程度のナッツを食べることが、すでに高血圧のリスクの低さと関連しており、それ以上摂取量を増やしても、さらなるメリットは確認されなかったと指摘しています。
同氏は、クッキーやポテトチップスなどのおやつをナッツに置き換え、食事に追加して食べるのではなく、おやつとして取り入れることを勧めています。もともとの食事にナッツを加えるだけでは、長期的にはカロリーを摂り過ぎて体重が増える可能性があり、かえって血圧の管理に不利になることも考えられます。
ナッツを選ぶ際は、味付けされていないものを基本にすることも大切です。市販の塩焼き、ハチミツ味、塩コショウ味などの商品は、ナトリウムの摂取量を増やしやすくなります。「カリウムやマグネシウムを摂る一方でナトリウムも摂ってしまえば、左手でしていることを右手で打ち消すようなものです」と同氏は話しています。購入する際は栄養成分表示を確認し、ナトリウムと添加糖の量に注意することを勧めています。
ウェイン氏はまた、この研究は観察研究をまとめて分析したものであり、ナッツを食べることと高血圧のリスクが低いこととの関連を示せるにとどまり、ナッツが高血圧を治療できることを証明するものではないと強調しています。すでに降圧薬を服用している人も、これを理由に自己判断で薬の服用を中止してはいけません。
中医が勧める4種類のナッツ 血圧管理をサポート
栄養成分からナッツを選ぶだけでなく、中医学では食べ物の性質や味、作用、そして個人の体質なども考慮します。
台湾の翰医堂中医クリニックの中医師、陳信宏氏は、エポックタイムズの取材に対し、血圧が高めの人には、味付けされていないアーモンド、カボチャの種、ゴマ、松の実を比較的勧めていると話しています。中医学では、これらの食品には腸を潤して排便を促す作用があると考えられており、日常の食養生の一部として、血圧や心血管の健康をサポートする目的で取り入れることができます。
ただし、陳氏は、ナッツは日常的な健康維持のための食品であり、通常の治療や降圧薬に取って代わるものではないと強調しています。
2つのタイプは ナッツの食べ過ぎに注意
健康的な食品とされるナッツでも、誰もが多く食べるのに適しているとは限りません。陳氏は、特に以下の2つの体質の人は、摂取量に注意するよう呼びかけています。
- 陰虚火旺:このタイプの人は、イライラや不眠、顔が赤くなる、暑がる、口や喉が渇く、口が苦い、便が硬い、尿の色がやや黄色いといった特徴がみられることがあります。陳氏は、クルミ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツなど、比較的温性で滋養があり、こってりしたナッツは控えめにし、乾燥や熱の症状を強めないようにすることを勧めています。
- 脾虚痰湿:中医学でいう「脾虚痰湿」とは、消化や代謝の働きが弱く、疲れやすかったり、下痢をしやすかったりする状態を指します。ナッツには脂質や食物繊維が比較的多く含まれているため、このタイプの人も一度に食べ過ぎず、胃腸への負担を増やさないようにすることが勧められます。
腎臓病やナッツアレルギーがある人は注意
体質の違いだけでなく、ナッツを食べる際に、より慎重になる必要がある人もいます。
腎臓病のある人:ナッツにはカリウム、リン、シュウ酸、植物性たんぱく質などが含まれています。腎機能が低下している人は、血液中のカリウムやリンの数値、腎機能の状態に応じて、医師の指導のもとでナッツの種類や量を調整する必要があります。
ナッツアレルギーのある人:特定のナッツを食べてアレルギー反応が出たことがある人は、再び食べるのを避けてください。
(翻訳編集 華山律)
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