漢方医学

感情の変化と病気

2016/03/31 07:00

 ずっと身体の疲れが取れない、便秘がちだ、肩こりがひどい・・・といった、不定愁訴に悩む人は少なくありません。これといった原因が見当たらない人は、自分の感情変化に問題があるのかもしれません。漢方医学では、マイナスの感情のみならず、すべての感情変化が度を超すと身体に害を与えると考えています。喜怒哀楽と五臓六腑の関係を知り、上手に感情の変化を制御して、健康の維持に役立てましょう。

 漢方医学の理論では、人間の感情変化を「怒・喜・思・憂・悲・恐・驚」という七情にまとめられています。この七情の感情変化はそれぞれ特定の臓腑と密接に関連し、それぞれの機能に影響を与えて病気を起こすことがあります。 七情と五臓の関係は以下のように関連しています。

 喜は心に関連し、気を緩める作用があります。

 怒は肝に関連し、気を上らせる作用があります。

 思は脾に関連し、気の滞りを起こす作用があります。

 悲と憂は肺に関連し、気を消せる作用があります。

 驚と恐は腎に関連し、気を散らしたり、下したりする作用があります。

 漢方医学の古典『黄帝内経・素問』の「陰陽応象大論」に「喜傷心」、「怒傷肝」、「思傷脾」、「憂傷肺」、「恐傷腎」の論説があります。その中で、過度の感受変化は内臓を傷つけることが指摘されています。

 嬉しいことは良いことであっても、度が過ぎると病気になります。嬉しい気持ちは気を緩める作用があり、気が緩んだら、血の流れも遅くなるので、血管の詰りを起こしやすくなります。また、気の緩みの度が過ぎると、気違いを起こすこともあります。

 一方、怒りは肝を傷つけ、気を上らせる作用があります。大きな怒りとともに、気と血が上りすぎて、高血圧、耳鳴り、めまいを起こしたり、脳出血を起こしたりすることもあります。

 優柔不断の思いは脾を傷つけます。脾は漢方医学の理論では消化器官を管理する臓器なので、脾が傷つくと、消化器の機能障害を起こします。過剰の思慮によって、食欲不振、過食、神経性胃腸障害、慢性下痢、腹痛、胃潰瘍などを起こすことがあります。

 また、悲と憂は肺を傷つけ、気を消します。長期にわたる過剰な憂いと悲しみは、肺の機能を弱め、肺の病気に罹りやすくなります。慢性の咳、喘息、結核などの慢性感染性疾患は、過度の憂いや悲しみによって起きることがあります。

 驚と恐は腎を傷つけ、気を散らしたり、下したりする作用があります。過度の恐れによって、尿を漏らしたり、気を失ったりすることがあります。また、驚きによって、気が散ってしまうので、脱力感を生じることもあります。

 感情の変化によって起きた病気に対して、感情を利用して治療する方法もあります。これについて、『黄帝内経・素問』の「陰陽応象大論」に「恐勝喜」、「怒勝思」、「喜勝憂」、「思勝恐」、「悲勝怒」という論述もあります。つまり、喜びによって起きた問題は、恐れによって解決できます。同様に、思いによって起きた問題は、怒りによって解決できます。憂いによって起きた問題は、喜びによって解決できます。恐れによって起きた問題は、思いによって解決できます。怒りによって起きた問題は、悲しみによって解決できます。この原理は五行の生剋関係によるものです。

 感情の変化にもバランスが必要です。過不足の感情の変化は、いずれも臓腑の機能に影響を与え、臓腑間のバランスを崩すことがあり、それによって、様々な症状、病気を起こすことがあります。儒教の「中庸思想」は、ただの道徳的理論ではなく、このあたりでも実際の指導作用があるのです。

(翻訳編集・郭丹丹)

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