EU・中国外相会談、中共の「市場経済地位」認定ならず

【大紀元日本2月6日】欧州連合(EU)と中国は2月3日、中国の「市場経済地位(Market Economy Status=MES)」の認定に関する会談がウィーンで開かれた。欧州連合側ではオーストラリアのプラスニク外相、フィンランドのトゥオミオヤ外相、ソラナ欧州理事会事務局長兼共通外交・安全保障上級代表、ヴァルドナー欧州委員会対外関係担当委員および中国側の李肇星外相が出席した。認定については、EUが定めた5つの指標のうち、4つが基準に達していないため、完全な市場経済として認められないと、ヴァルドナー欧州委員会対外関係担当委員は強調、また、中国の武器禁輸措置の解除については、解除を目標としながらも「合意が得られていない」として、決議は再び延期された。

EUにとって、中国はすでに米国に次ぐ第二の貿易大国となり、貿易額はすでに2000億ドルを超えているが、中国はまだ認定されていない。EUはロシアの市場経済国としての地位を認定している。中国に市場経済地位を付与するということは、中国を「製品価格や賃金などが政府の干渉なしに自由競争市場で決定される、完全な資本主義経済体制を備えた国」として認めることになる。

世界貿易機関(WTO)のほとんどの会員国は当然のこととして認められている地位だが、中国は2001年、「向こう15年にわたりMESの認定を保留する」というWTOの提示を受け入れる条件でWTOに加入している。 MESが認められない場合、ダンピング判定などで不利益を被る可能性がある。中国の国内価格は市場が決定した価格ではなく、政府が介入して定められた価格と見なされるからだ。

そこで、中国はWTOの加入後、各国を対象にMESの地位を付与してくれるよう要請している。ASEAN(東南アジア諸国連合)10か会員国とオーストラリアやペルーなど42か国は、これを認めたが、米国やEU、日本などは中国の要請を拒否した。

認定について、EUが定めた5つの指標のうち、4つが基準に達していないため、完全な市場経済として認められないと、ヴァルドナー欧州委員会対外関係担当委員は強調。①政府の干渉の低減②企業統治(会計原則の順守)③財産権・知的財産法と破産法の均等かつ適切な処理④金融部門を市場ルールに置く―の4点について基準を満たしていないとされている。

また、中国の武器禁輸措置の解除について、決議が再び延期されることになったが、オーストリアのプラスニク外相は「目標は解除だが、まだ合意を得ていない」と話した。EUが1998年に「武器輸出に関する行動規範」を採択したのは、人権を蹂躙する中国への武器の輸出禁止策であった。特に、米国の防衛計画では、中国を主要な危険国としてみなしているため、EU が中国の武器禁輸措置の解除に合意が得られないのも、アメリカの影響が伺われる。

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