心配されるナノ技術製品の安全性

【大紀元日本6月24日】ナノ技術製品とは、人の髪の毛の太さの千分の一(100nm)以下の大きさの微粒子を使って製造されたものである。ナノ技術の概念さえ、まだ多くの人がなじんでいない現在、実はそれを使った多くの製品がすでにわれわれの生活の中に入っている。

ナノ技術製品の優れた一面としては、たとえば、ナノ技術で生産したテニスラケットは、従来の技術で作ったものより、その強度が遥かに強くなる。また、衣服用の防水塗料や日焼け止めクリームなども、ナノ技術によって加工したものは、従来のものに比べ、効果がかなり高くなっているようである。そのため、今後、ナノ技術は医薬品、電子製品、自動車、通信設備などの分野に広く使われることが見込まれている。

しかし、生活の中にナノ技術製品が増えるとともに、その安全性について、心配する声も次第に高まっている。ナノ粒子は非常に小さいため、生産過程で空気中に遊離したものが容易に人体に入りうる。その場合、これらの人工合成した粒子が、人体にどのような影響を与えるのか、現段階では、まだほとんど分かっていないが、専門家たちは「肉眼で見えないナノ粒子は、人々に吸い込まれる心配があり、当初のアスペストのように、一時工業生産の優れた材料として広く使われても、後になって多くの人々の健康に被害をもたらす可能性が心配されている」と指摘している。

現在、ナノ技術製品の安全性を評価する方法は、まだ完全に確立されておらず、研究機関や企業団体が、その評価方法の開発に取り組んでいる。ヨーロッパでは、イギリスの研究協議会が、人工ナノ粒子の毒性、疫学、残留性、及び生体蓄積性に関する研究を行うために、今後10年間で10兆円以上の資金が必要であると見積もっている。

新しい技術の導入は常にリスクを伴う。より便利な生活のために、時に大きな代償を払わなければならないこともある。