企業幹部の汚職を訴え、従業員1000人が集団陳情=河北省

【大紀元日本4月10日】中国河北省保定市の大手繊維メーカー保定市依綿の従業員1000人以上が、北京に徒歩で向かい、大規模な集団陳情を試みる事件が発生。現地政権は大量の警官を導入して陳情者全員を強制送還した。

保定市依綿は創設50年の国有企業であったが、2004年に香港企業「亜芳集団」に売却された。従業員側は、売却の際の幹部の汚職を訴え、数年にわたり現地政権に調査を求め、中央の会計審査機構による売却前後の工場の固定資産の査定を要求し続けているが、一向に対応がなかったという。最近では、工場は密かに転売され、従業員4000人がほぼ全員解雇されるとの情報が流れ、従業員らは3月末から大規模なストライキに突入した。

4月3日午前8時頃、1000人以上の従業員が中央政権に対して集団陳情を行うため、徒歩または自転車で140キロ離れた北京市に向かった。現地政権は従業員らを食い止めるため、大量の警官や警察幹部を動員して行き手の道路を封鎖。翌日早朝2時までに、20数台の大型バスで全員を強制送還した。

集団陳情に参加した劉さんは、当時の状況について次のように説明している。

「陳情参加者の7割は女性と60歳以上の定年退職者。約十数時間歩き、約25キロ過ぎた地点で止められた。約700人の武装警官が3列並んで道路を封じ、道路脇には、約80台のパトカーが停まっていた。」

現地政府はその後、工場の主要幹部全員を転勤させた。従業員らは取材に対し、自分たちが訴えている幹部汚職問題はまったく解明されていないことに強い不満を示し、これからも抗議を続けていくと表明。1人の従業員は「飯も食っていけなくなる状態だ。生きるためにこれからも労働者としての正当な権利を主張していく」と語った。

一方、この集団陳情事件を「観光旅行」として報道するメディアもあるという。

(記者・古清児、翻訳編集・叶子)

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