内モンゴルで再び抗議活動 鉛採掘で家畜が大量死

【大紀元日本7月2日】5月下旬から、内モンゴル自治区内ではモンゴル人による大規模な抗議事件が相次ぎ発生している。6月24日、同自治区東南部の赤峰市にあるバイリン左旗(巴林左旗)で、再び抗議活動が起きた。米国の人権団体「南モンゴル人権情報センター(SMHRIC)」によると、中国政府は武装警察を投入して事態を収拾したが、その際、複数の抗議参加者が逮捕されて現在のところ行方不明。また負傷者も複数出ているという。

ラジオ・フランス・インタナショナル(RFI)によると、バイリン左旗の村で6月24日、一部のモンゴル人学生と遊牧民が、ある鉛の採掘場付近で抗議デモを行った。抗議者は、赤峰市当局の支持のもとで開鉱された採掘場が、古くから遊牧民の生活の基盤であった草原を著しく破壊し、環境も汚染していると訴えた。汚染された水が処理されずに草原に排出されたため、大量の家畜が死亡し、遊牧民の健康も損なわれた、と村民らはこれまで何度も陳情したという。

24日の陳情は過去最大規模となった。当局は50数人の武装警察を出動させ、抗議者らを殴打するなどして退散させた。それにより、年配の女性を含む4人以上の遊牧民が負傷したと伝えられている。こうした当局の暴力行為に怒った村民500人余りが一時現場に集まり、警察と対峙した。

本事件について、AP通信が現地政府と警察当局に電話取材を申し入れたが、相手は対応しなかったという。

内モンゴル自治区は、中国で最大規模の石炭やレアアース(希土類)の産地であり、漢族による大規模な採掘が盛んに行われている。

5月中旬には、炭鉱開発に抗議したモンゴル族のある遊牧民が、漢族の男によりトラックで故意にひき殺された。この事件が引き金となり、5月下旬から、同自治区ではモンゴル人による大規模な抗議事件が相次ぎ発生し、当局の炭鉱開発による環境破壊や現地遊牧民の権益への侵害について、その不当性を訴えた。中国政府は武装部隊を投入して、事態を沈静化させたばかり。

5月に抗議事件が連続して起きた際、南モンゴル人権情報センターのエンフバト代表は、「問題のカギは、中国当局によるモンゴル族への民族政策にある。過去60年間、モンゴル人は自分たちの土地で圧制を受け続けてきた。長年蓄積してきた当局への不満があるため、今回のような抗議は、今後も頻繁に発生するとともに、その規模はさらに拡大するはずだ」と述べた。

(翻訳編集・叶子)
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