フィリピン政府、中国船舶の領海侵犯を主張、中国政府は事実無根と反論

【大紀元日本1月11日】中国の軍艦1艘と民間の船舶2艘が先月フィリピンの領海に侵入し、中国政府に抗議したことを、フィリピン政府がこのほど公表した。一方、中国政府は、フィリピン側の主張は「捏造であり、騒ぎを引き起そうとしている」として、事実関係を全面的に否認した。

フィリピン外交部は8日、フィリピンに駐在する中国大使館の外交官を呼び寄せ、一連の侵入事件に対する抗議を行った。ロサリオ外相は、中国大使館に「厳重の関心」を示したと述べた。

公表によると、三艘の中国の船舶は12月11日と12日に南シナ海の仙賓礁周辺の海域に出没していた。辺りはフィリピンの領海とされている。

フィリピン海軍の幹部によると、同国の巡視艇一艘と空軍の航空機一機が、これらの中国の船舶を遠距離監視していた。

中国の船舶は関連海域で停船することなく通過したという。

ロサリオ外相は、中国側のこの行為は2002年に東南アジア諸国連合(ASEAN)で合意した「南海各方行為宣言(南シナ海行動宣言)」や国連の海洋法の公約に違反していると非難した。

一方、中国政府はフィリピン側の主張を完全に否定し、事実関係は「捏造であり、騒ぎを引き起こそうとしている」と反論した。

中国外交部の報道官は9日の定例記者会見で、問題の仙賓礁は中国の領土であり、南沙諸島とその付近の海域の領有権は、議論の余地なく中国にあると述べた。

中国、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、ベトナム、台湾の諸国全てが、南シナ海の部分的領有権を主張している。同地区には豊かな石油の埋蔵が見込まれている南沙諸島が位置している。

領有権紛争問題に関して、米国はこれまで中国に対して穏便で現実的な対応を求め、他の関連諸国への一定の支持を示してきた。

温家宝・首相は昨年11月の東アジア首脳会議で、南シナ海の領土問題は長年にわたるものであり、外部勢力は一切介入してはならないと、米国の関与をけん制した。

(翻訳編集・叶子)

関連記事
急増するサイバー犯罪に対処することを目的として、フィリピン政府と民間部門はサイバー耐性の向上や訓練プログラムといった一連のサイバーセキュリティイニシアチブの実施に乗り出した。
[マニラ 19日 ロイター] - 強力な台風に襲われたフィリピン中部のボホール州で、少なくとも72人が死亡した。アーサー・ヤップ州知事が19日明らかにした。犠牲者数はフィリピン全土で100人を超えている。 ボホール州はロボック川などフィリピンの人気観光地を抱える。ヤップ知事は、現在の死者数は一部の報告に基づいたものにすぎないと述べ、実際はまだ増加する可能性を示唆。フェイスブックのアカウントを通じて
南シナ海で座礁しているフィリピン海軍の老朽軍艦に物資を補給する比民間船舶の作業を妨害した中国は、その後同座礁船の撤去を要求したが、2021年11月下旬、フィリピン国防相は同座礁船を撤去しない意図を表明した。
2021年7月にフィリピンの地理空間分析会社が発表した報告書によると、中国籍の船舶が投棄した海上廃棄物によりフィリピンの環礁と諸島周辺の脆弱な生態系に大きな損害が発生した。
南シナ海や台湾海峡で中国共産党(以下、中共)の脅威がエスカレートしている中、元フィリピン海軍副提督ロンメル・ジュデアン(RAdm. Rommel Jude Ong)氏は、米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで、フィリピン、台湾、日本は防衛面で密接な関係にあると述べ、3カ国が協力して対中国防衛政策を展開することを呼びかけた。