1200人の生徒が集団食中毒 また乳製品が原因か=中国貴州省

【大紀元日本4月3日】有毒物質メラミン入り粉ミルクによる乳幼児の健康被害が発覚し、多数の犠牲が出たが、中国本土の乳製品の安全問題は改善されていないようだ。貴州省の小学校で3月29日、大手メーカーの乳製品を食した生徒による集団食中毒事件が発生し、1200人が病院に搬送されたという。香港に本部を置く中国人権民主運動情報センター(人権情報センター)が伝えた。

一方、国営新華社通信は病院に搬送された生徒は86人と報じ、事件の翌日には中国乳製品協会の宋昆岡理事長がテレビ番組で「中国の乳製品は今、最も品質が高い」と発言し、市民から非難の声が上がっている。

 「牛乳を半分飲んでお腹が痛くなった」と生徒が証言

人権情報センターの報道によると、集団食中毒事件が起きたのは同省畢節地区にある織金県八歩鎮の中心小学校。国から貧困県として認定された同県は26日から生徒の「栄養状態改善計画」を実施し、17校計5000人の生徒に対して朝食の提供を開始した。

4日後の29日、給食を食べた同鎮の生徒たちは相次ぎ体調不良を訴え、「牛乳を半分飲んだらお腹が痛くなった」と話した。腹痛のほかに、めまい、嘔吐などの症状も見られたという。

教員の話によると、給食の初日である26日にすでに嘔吐した生徒が出ており、体調不良を訴える生徒は連日増えているという。

人権情報センターによると、病院に搬送された生徒の中に死者が出たという情報が流れているため、一部の保護者は地元政府前で抗議活動を行ったという。

織金県教育局は同小学校のほかに8校の小学校でも食中毒が発生したと発表した。いずれも同じ会社が給食を提供しているという。大紀元の取材に対して教員は、事件後に行われた調査で、大手乳製品メーカーの蒙牛社が製造したヨーグルトと牛乳が原因として疑われていると話した。

 食い違う現地当局の発表と新華社の報道

現地当局は86人が病院に搬送され、うち7人が入院し治療中であると発表した。事件の原因について当局は、胃腸機能が乱れた生徒が嘔吐したため他の生徒がストレスを感じ、体調不良を訴えたとし、「食中毒事件」ではないとの見解を示した。

一方、国営新華社通信は食中毒を起こした患者は14人と報じており、現地当局との発表が大きく食い違っている。

事件翌日の30日、中央テレビ局(CCTV)の番組に出演した中国乳製品協会の宋昆岡理事長は「今の乳製品は最も質が良い」と発言し、市民らは「毒牛乳をもっと飲んでほしいのか」と不満を募らせている。

 (翻訳編集・高遠)