北京市党機関紙、胡錦濤・総書記をけん制する評論 江沢民派の反撃か

【大紀元日本4月6日】中国紙「北京日報」は3月31日、「共産党の総書記は最高権力代表ではない」との内容の評論を出した。北京市共産党委員会の機関紙である同紙の、内部の権力闘争を思わせる論調に、注目が集まっている。政治評論家は、北京市のトップである劉淇・共産党書記(江沢民派)が公で、党の総書記・胡錦濤氏とその後継者・習近平氏をけん制した、と指摘する。

問題の評論は、中国人民大学マルクス主義学院の汪雲生・教授の「我が党の最高指導者はいつから『総書記』となったのか」と題する文章。「十八大(注:共産党第18回全国代表大会)を向かえる文集」というコラムに載せられた。

同文章の後半のサブタイトルは、「我が党は『集団的指導』を強調し、これを実行することを重視してきた。『総書記』は党内の最高位のポストであるが、党の最高指導機関ではない」。その下に、「党の最高指導機関は党の全国代表大会と、選出された中央委員会である。そのため総書記は党の中央組織より上の最高代表ではない」と断じた。また総書記の役割について、「中央の日常事務を処理する事務総長で、党内の会議の召集人である」と説いた。

周知の通り、中国共産党はメディアの報道を厳しく管制している。今回のような中共の最高権力者である総書記を公でけん制するメディアの報道は異例中の異例だといえる。そのため、海外の多くの中国語メディアがこの報道を相次ぎ転載した。4日には、この文章は「北京日報」の公式サイトから消えた。

北京市のトップ、劉淇共産党書記は江沢民派のメンバーである。最高指導部の権力闘争が注目されているこの敏感な時期に、同市機関紙がこの論文を打ち出したことについて、政治評論家は、江沢民派が胡錦濤・総書記とその次期後継者の習近平氏をけん制するためであると指摘し、権力闘争の熾烈さを露呈したと見ている。 

 (記者・穆清、翻訳編集・叶子)
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