公開が危険とされる鳥インフルの論文を発表=英ネイチャー誌

【大紀元日本5月8日】「テロ組織による利用」を懸念され発表を先延ばしにされた鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の変異株に関する論文は、3日、英ネイチャー誌のオンライン版で掲載された。

同論文は米ウィスコンシン大学の河岡義裕博士(東大医科研教授も兼ねる)が率いる研究チームがまとめたもの。H5N1ウィルスを変異させ、2009年にヒト間で流行したH1N1のウィルス株の遺伝子をこの変異遺伝子と置き換えたことに成功した。

この「H5N1変異株」をヒトと呼吸器系がよく似ているとされるフェレット6匹に感染させたところ、フェレット間での飛沫感染が起こった。このことから変異株には、ヒト感染能力を持つと推定されている。

H5N1ウィルスは哺乳類へは感染しにくいが、ヒトに感染した場合の致死率は50%と非常に高いとされている。変異株の作成に成功した同研究の論文が全文公開されれば、テロリストによる悪用が懸念されていた。米政府の諮問機関であるバイオセキュリティー国家科学諮問委員会は重要データの削除を求めたが、研究チームに拒否されたため、掲載を見送られた。

今回の掲載決定について、ネイチャー誌は同研究が安全基準の高いバイオセーフティレベル(BSL)3で行われたことを挙げ、全文発表の妥当性を説明している。また、変異株の作成にはハイレベルの技術が必要で、ほとんどのテロ集団の技術力を超えていることも論文公開の理由のひとつとして挙げられた。

(翻訳編集・市村)
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