北朝鮮制裁 中国の賛成票、尖閣問題からむか

韓国海軍が回収した北朝鮮が発射したミサイルの残骸、2012年12月(Getty Images)

【大紀元日本1月25日】昨年末に北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルを発射したことに対する制裁決議案が国連安全保障理事会で22日、全会一致で採択された。中国は今回の投票で異例な賛成票を投じており、専門家の間では、中国はこれによって尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題で米国に「借り」を作らせ、より有利な立場を手に入れようとしていると分析。一方、賛成票は、習体制が国際社会に中国は「責任ある大国」であることへのアピールとみる専門家もいる。

米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は台湾国防部の元副部長の主任秘書・張国成氏の見解として、中国の態度転換の背景に、尖閣諸島問題があると伝えている。北朝鮮問題では米国との対立を避け、歩み寄りを見せることで米国に好印象を与える。それによって、尖閣問題をめぐって、米国の立脚地を日本寄りから「中立した立場」に立ち直させることがねらいだという。

一方、今回の決議は習近平氏が総書記就任後、初めての対北朝鮮措置であり、その対応が注目されていた。投じられた賛成票は習氏の「外交観と戦略観」を象徴するかはまだ不明だが、「中国は理性的で責任ある大国のイメージを作り上げようとしている」と米ブルッキングス研究所東アジア問題専門家のオウ・コンダン氏は分析する。

習総書記は23日、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)次期大統領特使団の表敬訪問を受けた際、北朝鮮の核と大量破壊兵器の開発に反対する考えを明確に示している。習氏のこれらの意思表示は、平壌の金正恩(キム・ジョンウン)体制に、中国はいつまでも無条件に北朝鮮を庇護することはできないとのメッセージを送っているとオウ氏はみている。アジアに回帰するアメリカとの関係や、国際社会からの圧力、さらに国内世論などを踏まえ、北朝鮮の肩をもちつづけることが国益にならないとの判断にいたったとうかがえる。

(翻訳編集・張凛音)
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