【在日中国人の目】香港デモ、冷めた目で見る中国人 天安門事件がトラウマか

【大紀元日本10月3日】香港で次期行政長官の選挙制度をめぐる抗議デモは6日目に入った。大学生ら若者が最前線に立った今回のデモは25年前の天安門事件を彷彿とさせる。当時、インターネットがなく、人々は短波ラジオで雑音混じりの米VOAを熱心に聞き入るなど、民主化への期待が中国全土で渦巻いていた。当局による武力弾圧が報じられ涙する大人たちの姿を高校生だった私は今も覚えている。しかし、天安門事件を見守っていた私と同世代の人たちが社会の中核を担うようになった今、彼らはどこか冷めた目で今回のデモを見つめている。

大学時代の同級生を繋げるチャットグループに参加している。彼らは日本語を専攻し、良好だった日中関係に恵まれ、日中貿易や外交の分野で活躍、中国では中流階級に属している人が多い。そんな彼らでもチャットで日頃から食品問題、汚職問題、物価の高騰などの社会問題を隠語で批判していたにもかかわらず、今回の香港デモは話題すらならなかった。ためしにデモの話を振ってみたが、誰も飛びつかなかった。個別でチャットしてこの話題に触れても「中国に飛び火するのはゴメンだ。社会が不安定になれば、一般市民のわれわれが一番被害を受けるのだ」と保身主義に走った同級生の話に驚かされる。香港と隣接する広東省在住の同級生はデモの発生さえ知らなかった。

こうなったのは中国政府の徹底的な情報統制と洗脳が功を奏したようだ。中国版ツイッター微博(ウェイボー)などのSNSで関連キーワードが禁止され、香港関連の記事が投稿されると即削除されている。広東省の奥まで届く香港のテレビ局が放送するデモの生中継は遮断された。中国メディアは批判記事が一色で、中にデモは生活苦に不満を持つ市民が起こしたものだと原因を経済問題にすり替えた記事も掲載された。

また、25年前に失敗に終った天安門事件も人々を政治問題から遠ざけた。ここ数十年来の最大規模となった学生運動は当局の武力弾圧に遭い、多数の死者が出た。その後、リーダーたちは投獄されたり、海外逃亡を余儀なくされ、学生運動は凋落した。人々は共産党政権に嫌気がさしながらも、民主化への希求を封印し、目の前の「楽しいひととき」に満足するようになった。

今回の香港デモで人気ロックバンド Beyondの名曲「海闊天空」、日本語版「遥かなる夢に~Far away~」は10万人の参加者が大合唱し、話題となった。90年代に中華圏を一世風靡したBeyondの作品の多くは自由を追いかける若者の葛藤を表現したもので、当時の人々に大きな影響を与え、私もファンの一人だった。

「希望を捨てるのは誰にでもできる/今はたとえ君と二人きりになる日が来たとしても/もう怖くはない」、20年ぶりにあの希望と情熱に満ちた歌声を聴くと、思わず目頭が熱くなった。香港デモの結末がどうなっていても、彼らに希望を抱きつづける大人になってほしい。そして、この曲が再び中国人の心に届く日が来るのか、希望を捨てず見守っていきたい。

(江左宜)
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