中国富裕層に海外移住ブーム 米国が一番人気

2012年以降、中国でエリート層、高級官僚、企業家といった富裕層の間で海外移民ブームが起きており、それに伴い大量のマネーが海外に移されている。米財務省が10月に発表した最新の報告によると、今年1月から8月にかけて中国から海外へ流出した資金は5000億ドル(外国への直接投資を除く)を超えたとみられる。

北京に本拠を置くシンクタンク「中国グローバル化研究センター」(CCG)が作成した海外移住者に関する2012年度の報告書によると、当時、個人資産が1億元(約19億円)以上の企業家のうち、27%がすでに海外移住しており、47%が移住を検討している。また個人資産1000万元(1億9000万円)以上の富裕層では、60%近くが「すでに海外に移住した」、または「移住を検討中」となっており、その80%以上が民間企業の経営者である。

15年度の同報告書によると、富裕層の移住先として最も人気ある国は米国であり、在米移民全体の中でも、中国系移民はメキシコ人に次ぐ第2位を占めている。

こうしたなか、中国人の海外不動産投資は年々増加の一途をたどっている。全米不動産協会(NAR)によると、ここ数年でアメリカの不動産市場は中国マネーの重要な投資先となり、12年の投資額は81億ドルだったが、15年は10月までに3倍強の286億ドルに急増している。

米国の調査会社、リアル・キャピタル・アナリスティックス(RCA)などの統計によると、今年1月から7月までに、中国人が購入したマンハッタンの不動産の総額は38億ドルにのぼり、すでに14年度の購入総額の4倍強に達している。また今年5月までの17カ月間で、米不動産を購入した中国人の46%が現金で支払い、その金額は前期比229%増となった。

元北京大学経済学部教授で、米シンクタンク・ケイトー研究所研究員である夏業良氏は、富裕層移民ブームが生じる主な原因は、中国経済と政治情勢に対する先行き不安が強まっているからだとみている。

(翻訳・桜井信一、編集・叶子)

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