(WANG ZHAO/AFP/Getty Images)

「中国市民は心から共産党にノー」入院中の人権弁護士、民の声を聞く(2)

「中国市民は心から共産党にノー」入院中の人権弁護士、民の声を聞く(1)よりつづく。


中国の若者、腐敗高官「トラ」毎月100匹退治を希望

鄭氏は、毎日のように若者と交流するなかで、「一般の中国人はかなりの程度目覚めていると思っている」と感じた。「彼らは、時たまに副省長レベルの幹部が逮捕されていても何の興味も湧かない。腐敗汚職のトラは1匹2匹しかいないわけでもなく、当局が1カ月で100~200ものトラを退治しなければ本気で反腐敗に取り組んでいると思えない、と明言している」。

中国の一般市民は共産党体制そのものに失望している。鄭氏はある若者に、インターネット検閲突破の『翻墙』(訳注3)を知っているかと尋ねたところ、その人がすぐその場でやって見せてくれたという。「インターネットは中国に希望の光をもたらした。(大紀元記者に対し)海外で働く新聞やメディア関係者の存在は大きい。中国の真実を伝え続けていて、影響力は私の想像を超えている。私は以前、一般の中国人は目覚めておらず、若者はそれに輪をかけて何も知らないと思っていたが、それは間違いだと気が付いた。一般市民は無知ではない」。

鄭氏は病院で高齢者たちとの雑談のなかで、共産党幹部をどのように評価しているかと尋ねてみた。「みんな、江沢民のことを一番恨んでいる。江はこれまでによいことは何一つしてこなかったと言っている。江沢民を罵倒する話ばかりで、よい話は1つも聞かなかった」。

還暦を過ぎた老人らは吐き捨てるようにこう言った。「退職者への恩給が今年引き上げられると聞いたが、5月末になっても何の話も聞かない。上海の物価の高さはひどすぎる。あんなに高い野菜は見たことがないし、交通費も値上がりした。庶民はもはや彼ら(共産党政権)に対して何も期待していない。ただ、この体制が終わりを迎える瞬間だけを待ち望んでいる」。

入院中、共産党関係者からも支援の言葉

明かされない中国の事情を病院内で伝えた鄭氏の存在は、インパクトを与えた。1人の入院患者である弁護士が『私と入院仲間の鄭恩寵』というホームページを作り、多くの人から励ましやお見舞いのメッセージが届いた。

なかでも、共産党の高級幹部育成機関である大学「中央党校」の関係者から、激励を受けたことについて深い感銘を受けたという。「ある日、こういうメッセージが届いた。『私たちは党校の退職教師です。あなたのこの10年間のご活躍は常日頃から存じ上げており、心から尊敬しています。あなたのご回復を心よりお祈りいたします』これには本当にうれしかった」

退院した鄭氏は、入院生活を通じて見聞きした体験から、「共産党を人民は支持していないこと、江沢民や上海幇は共産党内部で、何の威信もなくなっていることが、良くわかった」という。

鄭氏は最後にこう結んだ。「読者や私に注目する皆さんにお伝えしたい。あなた方は(中国)国内の根本を揺るがす変化が起きていることを見聞きしていないだろうが、庶民は誰一人として大っぴらにこの政府のやり方に賛同しておらず、むしろ(台湾の総統)蔡英文に注目している。共産党から確実に人心が離れたのだ。中国の民衆は目覚めている。すでに心の中で共産党体制にノーを突き付けている」。

(おわり)

(翻訳編集・桜井信一/単馨)

訳注

3.「翻墙」とは、専用ソフトを使い中国のネット封鎖を突破し海外サイトにアクセスすることである。最も有名で幅広く使われている無料「翻牆」ソフトは、アメリカの法輪功学習者が開発した「自由門(フリーゲート)」や「無界瀏覧」がある。安全性が高く優れたソフトのため、中国人だけでなく、中国に行かれる人の必須アイテムとなり、海外企業の駐在員や外国政府の関係者までに使われていると言われている。

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