瞑想(マインドフルネス)で悪習慣を断ち切る

深いリラックス効果や集中力アップなど、さまざまな効果が期待できる瞑想。「マインドフルネス」という瞑想法で、悪い習慣を断ち切ることができるという報告がある。

マインドフルネスとは、自分が行っている「今」の瞬間に意識を集中させ、それを注意深く観察すること。米国の精神科医ジャドソン・ブリュワー氏(Judson Brewer)によると、彼のクリニックではこの瞑想法でヘビー・スモーカー砂糖依存症の人たちが、中毒から抜け出すことができたという。

そのやり方とは、何だろうか。まずは、中毒になるプロセスを知ることが大切だ。

例えば、砂糖依存症の場合。彼らは、「甘いものを見る」「甘いものを食べる」「脳の報酬系が活性化する」というプロセスを踏む。脳の報酬系は快感を覚えさせるため、このプロセスが確立すると、それを断ち切るのは容易ではない。しばらくすると、脳は再び甘い物に対して「美味しそう」「欲しい」というシグナルを出し、同じプロセスを繰り返すことになる。

タバコの場合は、どうだろうか。「タバコを吸っている人はかっこいい」「自分も吸ってみたら、かっこよく見えるかも」「吸ってみたらかっこいい」という思考プロセスを踏む。「かっこよく見える」ことで脳の報酬系が活性化し、快感を得る。そのプロセスが繰り返されると、ついには身体がニコチン中毒になる。

よくないと理性では分かっていても、止められないのが中毒。ブリュワー氏は、無理やりにその習慣を止めようとするのではなく、まずはそれを行っている瞬間に意識を集中し、興味を持って観察する「マインドフルネス」をするようにと勧める。すると、少しずつその習慣に対して自分をコントロールすることができるようになるという。

例えば、ブリュワー氏の患者の一人に、ヘビー・スモーカーの女性がいた。彼女はブリュワー氏の指導通りに、タバコを吸っている瞬間に意識を集中して、味わう訓練をした。すると、ある日彼女は「タバコがひどい味だった」ことに気づいたという。

「タバコのマインドフルネスをしてみたら、匂いは臭いチーズみたいで、味は化学薬品みたいだった。オェッ!」

つまり、彼女はそれまでずっと虜になっていたタバコの呪縛から解き放たれたのだ。

それが悪いものだと認識したら、次はそれを断ち切るプロセスを確立する。それまでは、「タバコを見る」➡「吸いたくなって吸う」➡「脳が快感を得る」を繰り返していたが、今度は、「タバコをやめてみる」➡「タバコをやめてみると、快感だ」というプロセスを確立する。それを少しずつでも続けることができれば、最後にはタバコを完全に断ち切れると、ブリュワー氏は言う。

この癖はやめなければ…と思っている方、試してみてはいかがですか?

 

(文・郭丹丹)