米ワシントンで中国の違法臓器摘出について語るイーサン・ガットマン氏(Lisa Fan/Epoch Times)
臓器狩り

臓器の違法摘出を調べるジャーナリスト、2017年ノーベル平和賞候補に

中国国内の法輪功学習者ら「良心の囚人」の臓器が強制摘出されているとの問題を追求し続けている調査ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏はこのたび、2017年ノーベル平和賞にノミネートされた。

ガットマン氏は著書『新中国を失う』(2004年)では、中国のインターネット検閲と自由の抑制に、米企業が「共謀」していると指摘。同氏の報告により、ヤフー、マイクロソフト、グーグル、シスコ・システムズの関係者は米連邦議会に招かれ、質問を受けた。

また、著書『スローター』(2014年)では、6年間で100人以上の中国からの移民、医師、弁護士をインタビューした結果、中国で違法な臓器摘出が行われていると明かした。ガットマン氏は、実際に強制的な臓器摘出と移植手術に関与した医療関係者からも聞き取りしている。

同問題についての報告は、2006年、カナダの人権弁護士デービッド・マタス氏と元アジア太平洋地域大臣デービッド・キルガー氏の調査『戦慄の臓器狩り』に次ぐもの。2人もまた、一連の人権活動で2010年にノーベル平和賞候補者になった。

3人は2016年に調査報告のアップデート版を公表。報告書によると、中国では過去15年間、毎年6万〜10万回の移植手術が行われており、実際の中国衛生部が主張するデータとは​大きく異なることを指摘した。 

(左から)デービッド・キルガー氏、デービッド・マタス氏、イーサン・ガットマン氏(Simon Gross/大紀元)

中国衛生部は2015年に死刑囚の臓器を移植用に使うことをやめたと主張しているが、調査報告書は医療冊子や関係者証言から「違法な臓器摘出はいまだに続いている」とし、中国当局の発表は信憑性が低いと主張している。

ガットマン氏は大紀元の取材に「(2016年の調査報告で)すでに中国は弁解の余地はなくなった」と話した。

ガットマン氏は、米連邦議会、英国議会などから証言に招かれている。3人による問題周知により、2016年6月、米下院議会で「中国当局が国家ぐるみで行っている法輪功学習者に対する強制的な臓器摘出を非難する」決議案が通過。欧州議会でも2013年、「中国で良心の囚人からの臓器強制摘出を非難する」決議案が可決した。

ニューヨーク・タイムズ、CNN、英タイムズ紙など有力メディアは、臓器の強制摘出についての報告を取り上げ、中国移植学会の医療改革と報告を支持していた国際的な医学業界関係者にショックを与えたと伝えた。

ガットマン氏は、多くの調査活動の協力者、研究活動に支援した基金に、謝意を示した。特に、情報提供に貢献したというミス・カナダの女優アナスタシア・リン氏、国際キリスト教連合ベネディクト・ロジャース氏、大紀元英語版(Epoch Times)のマシュー・ロバートソン記者の名前を挙げた。

ノミネートに際して、ガットマン氏は、情報提供者が危険を冒してまで明かした真実について、世界中の人々が耳を傾けるよう願っているとコメントしている。

(翻訳編集・佐渡 道世)

関連記事
【大紀元日本12月15日】欧州議会は12日、中国で起きる強制的な人体臓器の奪取(臓器狩り問題)について、即刻止めるよう中国政府に求める決議を可決した。 会議はフランスのストラスブールで開かれた。決議案
国際的な医学倫理組織「臓器強制摘出に反対する医師の会(DAFOH、米ワシントンDC拠点)」がこのほど2016年ノーベル平和賞候補になった。同組織は長年来、移植用臓器をめぐる犯罪、特に中国での受刑者に対する臓器強制摘出を反対する活動を続けている。
米下院議会で13日、中国当局が国家ぐるみで行っている法輪功学習者に対する強制的な臓器摘出を非難する「343号決議案」が満場一致で通過した。中国共産党による法輪功への迫害の一環である、強制的な臓器摘出は、国際機関に公にされてから10年経つ。このたび、米国下院議会もこの人権侵害を停止させるための具体的な動きを見せた。
 中国共産党の元老である羅瑞卿氏の次男で、元総参謀部前師級将校の羅宇氏は大紀元の取材に対し、「犯罪者を会議に招へいするのと同じこと」と非難した。
昨年、世界三大美女コンテストである「ミス・ワールド」カナダ代表に選出された女優で人権活動家アナスタシア・リンさんは、中国当局によって、同国海南島の三亜で開かれた決勝戦へ出席することを拒まれた唯一の出場者として知られる。