G20財務相会議、米が日欧に対中強硬姿勢の共同歩調要請か

[ワシントン/ブエノスアイレス 19日 ロイター] – 20カ国・地域(G20)は21─22日にブエノスアイレスで財務相・中央銀行総裁会議を開催する。米中両国が互いに340億ドル相当の輸入品に制裁関税を発動してから初めての顔合わせとなる。

米財務省のある高官の話では、米国は日本と欧州連合(EU)に対して、中国の「不公正な」貿易慣行に共同してより強硬な姿勢を取るよう求める見通しだ。

ただ先進国間には、米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限をEUとカナダにも適用したことを巡って不満が広がっており、対中国で足並みをそろえるのは難しい面もある。

コーネル大学教授(国際貿易論)で元国際通貨基金(IMF)中国担当責任者のエスワル・プラサド氏は「米国の貿易相手国は協調的なムードになりそうにはない。(米国の)長年関係を築いてきた貿易相手と同盟国への敵対的な行動は、自らの経済的・地政学的な影響力を弱めてしまっている」と指摘した。

3月に開かれた前回のG20財務相・中央銀行総裁会議は、保護主義を拒絶し「さらなる対話」を促す共同声明を発表したものの、ほとんど役に立っていない。

その後米国と中国がそれぞれ340億ドル規模の制裁関税を実施し、トランプ米大統領は、中国が知的財産に関する慣行やハイテク産業への補助金計画を改めない限り、さらに2000億ドルの中国製品を関税の標的にすると示唆している。

こうした中でドイツ政府のある高官によると、EUは今回のG20会議で貿易制限が「全ての人に打撃を与える」と強く訴え掛ける方針だ。一方日本政府の高官の1人は、貿易摩擦の激化が外国為替市場のボラティリティーを高め、安全通貨とされる円が買われて日本の輸出を脅かすのではないかとの懸念が、政府内で広がっていると明らかにした。

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