GettyImages

元の気ってなに?

毎朝ジョギングを欠かさない近所のお年寄りに「お元気ですね」と声をかけ、しょんぼりしている友人を「元気出せよ」と励まします。普段何気なく使っているこのことば、よくよく考えてみると何とも不思議なことばです。

「元気」には大きく分けて二つの意味があります。一つは、「活動の源となる気力」ということで、「元気出せよ」の「元気」がそうです。古くには、「元気」には、「万物が生まれ育つ根本となる精気」という意味がありました。文字通り、「元の気」ということで、「元気出せよ」の「元気」はこの用法からの派生だと考えられます。

もう一つは、「健康だ」ということで、「お元気ですね」の「元気」がそれにあたります。ただ、この意味の「元気」は本来、「減気」と書かれたようです。このときの「気」は病気の意で、「病の気を減ずる→病が快方に向かう」ということです。また、病気平癒のために祈祷してその「験(ゲン)」が表れる意で「験気」とも書かれました。そして、病気が治るということは、本来の気力に戻ることであることから、「元の気」の意である「元気」と混同され、次第にともに「元気」の字が当てられるようになったようです。「元気」に直接には関係なさそうな二つの意味があるのはこのためです。

▶ 続きを読む
関連記事
自閉症は一つではなかった――。最新の国際研究が、早期診断と遅発診断で遺伝背景や発達経路が異なることを解明。支援やスクリーニングの在り方を見直す重要な知見です。
首・背中・腰・肩・足。よくある痛みやこわばりは、無意識の「かばう動き」から広がることがあります。日常に取り入れやすい6つの基本ストレッチで、体の動きを取り戻すヒントを紹介します。
浴室以外にも潜む、家の中のカビ危険地帯。毎日使う玄関マットや歯ブラシ立てなど、見落としがちな場所と簡単対策を知れば、家族の健康と住まいの清潔を守るヒントが見えてきます。
高タンパクと書かれたクッキーや飲料が増えています。でも「プロテイン入り=健康」とは限らない可能性も。必要量は人によって違い、まずは何から摂っているかが大事──流行との距離感を考えます。
抗生物質だけでなく、身近な薬も腸内細菌に影響する可能性がある――。中医学では胃腸を「土」にたとえ、体を育てる基盤と考えてきました。腸の乱れを別の角度から見直すヒントです。