アングル:22日に中国全人代が開幕、焦点は財政拡張の「中身」

[北京 19日 ロイター] – 新型コロナウイルス感染拡大の影響で78日間延期されていた中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が、22日に開幕する。

中国指導部は、失業増大や対米関係の悪化など様々な問題を抱えている。全人代では追加の経済対策を明らかにする見通しだ。

注目は、李克強首相が22日に行う政府活動報告。経済成長の目標設定や財政政策について見解を示すとみられている。

共産党中央政治局は、景気を下支えするため、財政赤字の対国内総生産(GDP)の引き上げ、地方政府の特別債発行拡大、2007年以降で初となる特別国債の発行に踏み切る方針を示しているが、詳細は明らかになっていない。

中国政府は当初、経済成長目標を6%前後にする方針だったが、李首相はこれを大幅に下回る目標を発表するとみられている。

政府系シンクタンクや政府顧問は経済成長目標を2-3%、もしくは3%前後に引き下げることや、経済成長目標の発表を見送ることを提案している。

中国人民大学・財政金融学院の趙錫軍・副院長は「今年の全人代はかなり異例だ。ウイルス対策と景気対策をどのように進めるかが、焦点となるだろう」と述べた。

<民法典、コロナ対策>

今回の全人代では、同国初の民法典が承認されるとみられている。習近平国家主席が進める法制度改革の一環で、財産権や個人の権利などを正式に規定する見通しだ。

民法典の制定を通じて、民間部門の保護を強化する姿勢も打ち出すとみられる。民間企業は市場へのアクセスや銀行融資の確保で課題を抱えているほか、官僚的な行政手続きもビジネスの障害になっている。

国営メディアによると、今回の全人代では感染リスクを最小限に抑えるため、全国から集まる約3000人の代表は社会的な距離を保ち、部外者との接触を回避する見通し。一部の会合はテレビ会議方式となる可能性がある。

前週の政治局会議の要旨によると、習主席は「ウイルスとの戦い」を主導し「決定的な成果」を出したと称賛される見通しだ。

北京師範大学・政府管理研究院の唐任伍院長は「感染対策の次のステップや、どのように感染第2波を防ぐか、また、調査や補償を求める欧米諸国にどう対応するかといった問題も議論されるだろう」と指摘した。

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