安倍首相、敵基地攻撃能力を念頭に談話 次期政権に議論促す

[東京 11日 ロイター] – 安倍晋三首相は11日夕、弾道ミサイルなどを阻止する安全保障政策を年末までに示すとの談話を発表した。迎撃だけで抑止力が十分かと問題を提起し、相手領域内で弾道ミサイルを阻止する「敵基地攻撃能力」を念頭に、次期政権に議論を引き継ぐよう促した。

談話発表後に安倍首相は記者団に対し、退任にあたって今までの議論を整理をしたとし、「次の内閣でもしっかり議論してもらいたい」と述べた。また「(次期政権を)縛ることにはならない、国民の生命と財産を守る、シームレスに議論していくのは当然のこと」とした。

談話は、配備手続きの停止を決めた地上配備型迎撃ミサイル「イージス・アショア」の代替を検討し、迎撃能力を確保すると表明。一方で、迎撃だけで防衛能力が十分かと問題を提起し、抑止力強化のため、ミサイルを防ぐ安全保障政策の新たな方針を検討してきたとし、与党と協議して年末までにその姿を示すよう促した。

「専守防衛の考え方には、いささかの変更もなく、日米の基本的な役割分担を変えることもない」とした。

<閣議決定経ず談話形式に>

安倍首相は6月の記者会見で、イージス・アショアの配備停止を受け、安保戦略の「新たな方向性」を打ち出すと表明。敵基地攻撃能力の保有も視野に安全保障戦略の見直しに取り組む考えを示していた。公明党は敵基地攻撃能力の保有に慎重で、議論の動向が注目されていた。

敵基地攻撃能力を念頭に置きながらも談話にその文言は含まれず、談話自体も閣議決定を踏まえた「総理談話」でなく、閣議決定を経ない「総理の談話」との簡素な形式が採用された。

*内容を追加しました。

(竹本能文※)

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