【紀元曙光】2021年1月29日

上海市の郊外にも急遽「病院」をつくっている(らしい)。
▼当局は地元メディアを通じて「それは集合住宅だ」と否定する。どんな名称をつけるか知らぬが、実際は病院ではなく窓に鉄柵のついた隔離施設のはずだ。ならば地元当局による「否定」は本来的な意味で正しいことになる。
▼1年前の武漢では、火神山医院および雷神山医院という隔離施設を、10日そこらの突貫工事で湖のほとりに出現させた。ほめるつもりは毛頭ないが、日本ではとてもできないことを中国共産党は猛牛のようにやる。当時それだけ切迫した状況にあったわけだが、中共の場合、その過程に英雄的演出をやたら盛るので、真実はまことに見えにくい。
▼まともに信じてはならない。中共の機関紙『人民日報』で「正しいのは日付だけ」というジョークは、それを数少ない教材として中国語を学んでいた40年前の日本人学生の間でも、ジョークではない特殊な語感で知られていた。まして今、中国政府が発表する「感染者数」を注釈なしで引用している日本の各メディアは、あまりに不用心ではないか。
▼それより、その狂気じみた慌てぶりに注目したほうが中国の真実が見えてくる。武漢の前例に倣って、中国各地につくられているプレハブの病院は、患者の救命医療が目的ではないのだ。いくつかの幸運な事例は宣伝用に担保するだろうが、ほとんどの収容者は「その後」を明らかにされていない。
▼大方、中共ウイルス関連ではない死因をカルテに書かれ、誰とも分からぬ骨灰が遺族に渡される。驚くなかれ。なにしろ「臓器狩り」をやる国柄なのだ。