古代中国の物語

信義の君主 楚荘王

中国古代の人々は「信と義」を特に重んじていた。混乱期の春秋時代においてもそれは変わりなく、春秋の五覇の一人に数えられる楚国の君主・荘王も、信義に基づいて行動した。彼の言動は後世、孔子が褒め称えている。

これは中国古代の歴史書「左伝」に収録されている話である。春秋時代、小国の陳国は君主の霊公が酒に溺れてしまい、荒廃していた。そこで大夫(中流貴族)の夏征舒が霊公を暗殺し、自ら王の座に就いた。紀元前598年、荘王は「正義を正す」という理由で陳国に出兵し、夏征舒を殺して陳国を併合、楚国の一つの県とした。しかし後に、大夫の申叔時の進言を聞き入れ、陳国に主権を返したという。

陳国を併合した際、楚国の大臣や地方の役人、諸属国は皆、口を揃えて領土拡大を祝った。しかし楚国の大夫、申叔時だけは祝辞を述べず、荘王の怒りを買って直々に詰問されることになった。申叔時は「臣下は王様がお訊ねにならないことは述べることができませんが、王様がお知りになりたいのであれば何でも素直に申します。ですから、まずは怒りをお鎮めください。お怒りが収まりましたら、一つの寓話をお話ししたいと思います」と切り出し、次のように話し始めた。

▶ 続きを読む
関連記事
研究では、生物学的年齢は生活習慣によって変わることが判明。運動、食事、睡眠、喫煙・飲酒の回避、ストレス管理の5つを改善するだけで、老化を遅らせ、寿命を延ばす可能性が示された。習慣の見直しは何歳からでも効果があるという。
初めての心不全・脳卒中の影に、実は99%以上が共通の4つの兆候を抱えていた――最新研究が示した「見逃しやすい危険信号」と、予防のために今すぐ見直すべき生活習慣をわかりやすく解説します。
人気食材アボカドには、歴史・性の健康・怪我・アレルギー・動物毒性まで意外すぎる秘密が満載。読むほど驚きが続く「7つの知られざる真実」をご紹介します。
数百年前の喫煙習慣が、なんと骨にまで刻まれていた──。最新研究が明かした「骨が語る喫煙の記憶」は、健康観を揺さぶる驚きの事実です。
浜崎あゆみの上海での公演がキャンセルされた後の行動に称賛が集まっている。中共政府の常軌を逸した日本への外交攻撃に巻き込まれたが、今回のトラブルはかえってチャンスを広げる結果となるかもしれない。