≪医山夜話≫ (60)
まぐれ当たりの治療法
私の小さかった頃、中国はちょうど「読書は無用」のご時世だったので、時間を持て余すことが多々ありました。私はよく母が勤めている診療所に行き、漢方薬の薬の香りを嗅いだり、時には細々とお手伝いなどもしていました。そこにいた医者たちは、よく麦門冬、ナツメ、甘草などの薬草を、おやつとして私にくれました。それらはほんの少し甘味があり、子どもの私にとってひとつの楽しみでした。
その頃、医師同士の会話を耳にする機会も多くありました。「あの患者の下痢は、いろいろ処方を試してみたが症状が良くなったり、悪くなったりで、治りませんでした。ある日、思い切って彼の薬の中に大黄を加えてみたら、一度だけ猛烈な下痢をしただけで、その後二度と再発していません……」。こんな「まぐれ当たりの治療法」の会話を多く聞きましたが、患者を治療する際に一つの方法にこだわるべきではないことを、子供ながらに知りました。それは、後に私が医者となって患者を治療する上で、ひとつの教訓となりました。
祖母から聞いた同じような話
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