チリ首都に都市封鎖再導入、ワクチン接種進展でも感染拡大

[サンティアゴ 10日 ロイター] – チリ政府は10日、首都サンティアゴの全域にロックダウン(都市封鎖)を再導入すると発表した。

同国では、人口の半数が新型コロナウイルスワクチンの接種を完了しているが、このところ新規の感染者が急増している。

ワクチン接種を通じた早期の経済活動再開を目指している国々にも波紋を広げそうだ。

1日当たりの新規感染者は、過去2週間で17%増加。国民の半数が住むサンティアゴ首都圏では25%増加した。

全国看護協会連盟の代表によると、首都圏の集中治療室の稼働率は98%に達しており、医療体制が「崩壊の瀬戸際」にある。

チリでは、世界でも有数のペースでワクチン接種が進んでおり、国民の約75%が、少なくとも一回のワクチン接種を受けた。ワクチン接種を完了した人は、国民の58%近くに達している。

これまでに投与したワクチンは約2300万回分。内訳は、中国のシノバックのワクチンが1720万回分、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発したワクチンが460万回分、英アストラゼネカのワクチンと中国のカンシノのワクチンが、それぞれ100万回分弱。

専門家は、ワクチンは100%有効ではなく、効果が最大限発揮されるまでに時間がかかると指摘。ロックダウン疲れや変異株の発生も、感染第2波を引き起こす原因となっている。

保健省によると、今月9-10日の新規感染者7716人のうち、73%はワクチン接種を完了していなかった。49歳未満が全体の74%を占めた。

チリ大学の救急医、セサル・コルテス博士は「昨年は人々の恐怖感が募り、封鎖措置の効果は高かったが、今は違う」と指摘。ワクチン接種が進んでいなければ、さらに深刻な事態になっていたとの見方を示した。

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