米比合同演習に日本初参加 広がる対中抑止の枠組み

2026/04/21
更新: 2026/04/21

4月20日、1万7千人を超える兵員が、米比の年次合同軍事演習「バリカタン」を開始した。今回の演習は参加国が過去最多となり、自衛隊も初めて正式に参加した。専門家は、この演習はアメリカが力によって平和を確保しようとしていることを浮き彫りにしており、中国共産党(中共)を封じ込める動きは世界的な趨勢になっていると指摘する。また、日本の軍事力の強化は、中共の軍事的拡張に対する警告でもあるとの見方を示している。

専門家「中共封じ込めは世界的趨勢」

2026年のフィリピン・アメリカ合同軍事演習「バリカタン」は、4月20日から5月8日までフィリピンで実施される。今回の演習は参加国が過去最多となり、日本、カナダ、フランス、ニュージーランドなどが初めて加わり、オーストラリアも引き続き参加している。

このほか、ブルネイやドイツなど約17か国が国際オブザーバーとして参加しており、全体では20を超える国・パートナーが参加している。

今回の演習には1万7千人以上の兵員が参加しており、このうち米軍が約1万人、自衛隊が1400人を占める。米側は、「バリカタン」演習は米比の「盤石の」同盟関係を体現するものであり、同時にアメリカの自由で開かれたインド太平洋への関与を示すものだとしている。今回投入される兵力は近年で「最大規模の一つ」であり、中東情勢を理由に部隊配置を変更することはないとしている。

今回の演習は、フィリピン北部の台湾海峡および南シナ海に面した複数地点で行われ、実弾演習も含まれる。

フィリピン軍のブラウナー参謀総長は、この多国間合同演習は、この地域における侵略行為に対する抑止力と対応力を高めることを目的としていると述べた。

中共は、南シナ海の係争海域において、フィリピン海軍や沿岸警備隊に対する強硬な行動を強めており、北京は南シナ海のほぼ全域に主権を有すると主張している。

米比合同軍事演習について、中共外務省の郭嘉昆報道官は20日、国家間の軍事・安全保障協力は第三国を標的にしたり、第三国の利益を損なったりすべきではなく、「安全保障面で一方的に結びつきを強めれば、自ら災いを招くことになる」と主張した。

今年2月23日、フィリピン軍、海自、米軍は初めてバシー海峡上空で合同演習を実施し、日本は初めて自衛隊機を派遣して参加した。中共は2月27日、この演習に不満を表明していた。

台湾国防安全研究院国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長は大紀元に対し、中共のいう「自ら災いを招く」という主張は論点のすり替えであり、「他国は火消しのための行動を取っているのであって、中共はそれに対して組織的に反発している」と述べた。

蘇氏は、今回の演習について、参加国が最多となったことは、第一に、戦略面で中共を封じ込める動きがすでに世界的趨勢となっていることを示していると述べた。第二に、米軍の兵力不足といううわさを打ち破るものだとした。現在もアメリカとイランの軍事衝突は続いているが、「バリカタン」演習は依然として米主導で行われているからだ。第三に、カナダも参加していることから、民主主義国の間に関税をめぐる立場の違いがあったとしても、安全保障問題では一致しており、とりわけ中共への警戒は民主国家間の小さな対立を上回ると指摘した。

「中共は権威主義国であり、その拡張は当然ながら他の民主国家を脅かす。だからこそ、火遊び(挑発的な行動)をしているのは中共の側であり、民主主義国は火を防いでいるのだ」と同氏は語った。

台湾国防大学政治作戦学院の元院長、余宗基将軍は大紀元に対し、今回が参加国数で過去最多の演習となったことは、南シナ海の平和の重要性を改めて示すものであり、演習内容は中共を明確に念頭に置いていると分析した。主な狙いは、中共の軍事力拡張に対抗する能力と決意を示すことにあるという。

余氏は、アメリカは基本的に力によって平和を確保しようとしており、演習を通じて各国の安全保障協力への自信を強めているとの見方を示した。

「第一列島線に位置するいかなる国も、もはや単独で中共に対処しているのではない。集団防衛と、一体化した戦域という考え方によって、中共の軍事的拡張の野心を全面的に封じ込めようとしているのだ。アメリカが冷戦期にソ連封じ込め戦略から得た最大の教訓は、全体主義国には理を尽くしても効果はなく、力を示してこそ平和を得る可能性があるということだ」と同氏は述べた。

日本が初めて正式参加 専門家「中共への警告」

自衛隊は2012年からオブザーバーとして「バリカタン」に参加してきたが、昨年9月に発効した日比円滑化協定によって、武器装備の出入国許可手続きが簡素化されたことから、日本は今年初めて1400人の隊員を正式に派遣し、実戦的な演習に参加した。

日本側は、護衛艦「いせ」「いかづち」および大型輸送艦「しもきた」などの艦艇を派遣したほか、フィリピン・ルソン島北部沿岸で「88式地対艦誘導弾」を用いた「海上打撃演習」に参加し、標的艦を撃沈する任務を実施する予定だ。

海自の護衛艦「いかづち」は17日、台湾海峡を航行して通過していた。

高市早苗首相は就任からわずか6か月で、国防支出の拡大や、日本を世界の防衛市場における重要な参加国に押し上げる取り組みを迅速に進め、日本の軍事面での存在感を高めている。

余宗基氏は、日本の現在のいくつかの軍事的動きは、これまでに例のないものだと指摘した。たとえば、国防費目標をGDP比2%へ引き上げたこと、最近では南西諸島に新型の対艦ミサイルを配備したこと、さらに今回米比合同軍事演習に参加したことなどが、日本が地域全体の安全保障で積極的な役割を果たそうとしていることを際立たせていると述べた。

また、「これは日本にとって重大な意味を持つ。日本は平和憲法の制約を受けているため、本来このような多国間軍事演習に参加できなかった。今回の参加は、自衛隊が事実上、国防軍に近い役割を担うようになったことを示す重大な突破であり、中共にとっても大きな警告だ。自衛艦が台湾海峡を通過したことも、中共が台湾海峡を自国の内海のように扱おうとする考えを受け入れないという意思表示にほかならない」と指摘した。

蘇紫雲氏は大紀元に対し、日本が初めて自衛隊を派遣して参加したことは、第一列島線の海上交通路に対して一段と強い関心を持っていることを反映していると分析した。なぜなら、それは日本にとって「存立事態」に関わるからだという。つまり、日本本土が直接攻撃されなくても、周辺環境が変化すれば、石油輸送を含む日本の海上交通路が脅かされる可能性があるという意味だ。

日本が初めて部隊を派遣して「バリカタン」合同演習に参加するのを前に、中共の東部戦区は18日、東シナ海の関連海空域で海空戦力による合同戦備パトロールを実施した。さらに19日には、東部戦区が同日、「133号」艦艇編隊を編成し、沖縄近海を通過して、第一列島線中部の重要な国際航路である横当水道を経て、西太平洋海域で演習を行ったと発表した。横当水道は奄美大島と横当島のあいだに位置し宮古海峡よりも日本本土に近い。

3月27日から5月6日にかけて、中共は黄海と東シナ海近海の広範な空域に航空任務通告を出し、地表から無制限高度までの保留区域を設定したが、その理由や演習実施については公表しなかった。

余宗基氏は、中共は現在、アメリカが主導するこれらの国々によって軍事的に包囲されていると感じており、そのため対抗措置を取っているとの見方を示した。

同氏は「もともと中共にとって、アメリカだけでも極めて対処の難しい相手だったが、そこに日本の防衛力強化の動きが加わった。この二つの主要な軍事力が結びつけば、中共は巨大な圧力に直面することになる」と述べた。

さらに余氏は、日本は近いうちに世界第4位の軍事大国になる可能性があり、それは中共がアメリカと太平洋を二分しようとする軍事的野心に対して、非常に大きな打撃になるとの見方を示した。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。