フィリピン国防相 中共制裁報道に反論 「中国に資産ない」

2026/06/05
更新: 2026/06/05

中国共産党(中共)がフィリピンのテオドロ国防相を制裁対象にしたとの情報が浮上している。これに対し、テオドロ氏は「中国に資産はなく、行く予定もない」と述べた。さらに、中国の人々は友好的だとしながらも、そうした良さは「威圧的な政府体制」によって損なわれていると批判した。

6月3日、フィリピンメディアのPolitikoは、情報筋の話として、テオドロ氏とその家族が中共の入国禁止リストに加えられたと報じた。仮に同氏の家族が中国に資産を保有していれば、凍結する可能性があるという。

同日午後、テオドロ氏はフィリピン南部カガヤン・デ・オロ市で軍施設を訪問した際、この報道について言及した。

「私は中国に資産を持っておらず、行く予定もない。もちろん、訪れてみたい気持ちはある。食べ物はおいしいと言われているし、人々も友好的だからだ。しかし、そうした魅力はすべて、あの威圧的な政府体制によって損なわれている」

テオドロ氏は中国系である。自身の祖先について、6、7世代前に中国からフィリピンへ渡ったと説明し、「彼らが来て、そのまま残ってくれてよかった。そうでなければ、今の私は存在しなかった」と述べた。

テオドロ氏は、フィリピンの政財界で知られるコファンコ家の出身である。母は国会議員を務め、叔父はフィリピンの大手企業サンミゲルの会長兼最高経営責任者を務めた。祖先は、1861年にフィリピンへ移住した華人の許玉寰にさかのぼる。許玉寰は許尚志とも呼ばれ、福建省漳州出身の移民で、フィリピンで事業に成功した。現地の華人社会では「Huan Go」と尊称され、主流社会に溶け込むため、家族の苗字はスペイン風に変化し「コファンコ」となった。

テオドロ氏は5月中旬、中資系製鉄所「三嘉鋼鉄」への立ち入り捜査を指揮した。この捜査では、不法就労の疑いで中国人69人とフィリピン人1人を拘束した。テオドロ氏は、この工場が国家安全保障上のリスクとなる可能性を示唆していた。

在フィリピン中共大使館によると、拘束した中国人のうち64人は5月28日夜に釈放され、残る6人についても釈放手続きが進められているという。

三嘉鋼鉄は、フィリピン軍が管理する工業団地内にある。同社の前会長である楊建新は、フィリピン・バンバン市の中国系前市長、アリス・グオと深い関係があると指摘している。楊は2024年に逮捕された。グオは昨年11月、人口取引に関与した罪で終身刑を言い渡されており、当局はグオが中共のスパイだった可能性を疑っている。

Politikoによると、中共はフィリピン側の捜査の合法性を批判し、その矛先をテオドロ氏に向けたという。ただし、記事執筆時点で中共は、テオドロ氏が制裁対象になったかどうかを公式には確認していない。

テオドロ氏は、捜査が中国人を標的にしたものだとの見方を否定した。

「われわれは中国人を標的にしているのではない。標的にしているのは違法行為だ。たまたま、われわれが摘発した大規模な事案、例えば違法採掘などの関係者が中国人だっただけだ」

さらに、「違法事実が見つからないのであれば、私の動機を疑ってもよい。しかし、この件の違法性はあまりにも明白だ。私のひたいよりも目立つほどだ」と皮肉を交えて述べた。

テオドロ氏の発言は、X上でも議論を呼んだ。フィリピンを見下し、中共を擁護するネットユーザーの投稿も見られた一方で、テオドロ氏が中共政権と中国人を分けて論じた点を評価する声もあった。

「中共政府は、まるで成長しない巨大な子供のようだ。本当にばかげている。そのせいで、多くの中国人も同じようになっている」

「今では外国政府も、(中国共産党)政府と一般人を分けて考えるようになっているようだ」

「人の言葉を話す当局者がいるところは、少なくとも人が暮らせるところだ。人ならぬ言葉を話す当局者がいる場所は、間違いなく地獄だ」

テオドロ氏は中共に対して強硬な姿勢を示している。最近、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議でも、中共が日本に対して「新軍国主義」と批判したことに対し、日本を擁護する姿勢を示した。

また、昨年のシャングリラ会合で基調講演を行った際には、1974年に当時の中共国務院副総理だった鄧小平が国連総会で述べた「現在も、将来も超大国にはならない」との発言を取り上げた。

テオドロ氏は、半世紀を経た現在、中共当局はこの約束を守っていないと指摘した。北京が周辺国に対して取っている行動は、かつて掲げた「平和的台頭」とは正反対だと批判した。

唐兵