6月18日、政府の新型コロナウイルス分科会の会長を務める尾身茂氏(写真)や厚労省の助言組織の脇田隆字座長氏ら専門家有志は、東京オリンピック・パラリンピックを開催する際の感染リスクについての提言を取りまとめた。写真は1月都内での代表撮影(2021年/ロイター)

再送「無観客が最も望ましい」、五輪開催で尾身氏ら専門家が提言

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[東京 18日 ロイター] – 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は18日、東京五輪・パラリンピックについて、無観客が最も望ましいとの提言を取りまとめ、大会組織委員会に提出した。尾身会長は同日午後6時から記者会見を開く。

提言は「ワクチン接種が順調に進んだとしても、7月から8月にかけて感染者や重症者の再増加がみられる可能性があり、変異株の増加も想定する必要がある」と警告。五輪の開催期間がお盆・夏休みと重なるため全国各地で人流の増加による感染拡大、医療ひっ迫のリスクがあると指摘し、「無観客が最もリスクが低く、望ましい」とした。

観客を入れる場合は「現行の大規模イベントより厳しい基準の適用」や、「都道府県を越えた人流を抑制するため開催地の人々に限ること」、「感染拡大・医療ひっ迫の予兆が察知された場合は無観客とすること」などと提言している。

政府はスポーツやコンサートなど大規模イベントの観客上限を1万人とする方針を示しており、一部報道によると、政府や大会組織委などはこれに沿って五輪の観客上限も1万人とする方向で最終調整に入った。スポンサーなどの関係者については、これとは別の枠を設けるという。

提言をまとめたのは尾身氏のほか、厚生労働省の助言組織の脇田隆字座長や、分科会メンバーの岡部信彦・川崎市健康安全研究所長、京都大学の西浦博教授ら26人。提言は政府にも提出する。

尾身氏が同日夕に、その後に組織委の橋本聖子会長と武藤敏郎事務総長が会見する。

組織委はこの日午前、専門家ラウンドテーブルを開き、競技会場内だけでなく、場外での観客の人流や行動についても、提言内容を踏まえて意見を交わした。会議後に会見した中村英正MOC(メイン・オペレーション・センター)チーフは、観客に対するガイドラインの作成を進めていることを明らかにした。

中村氏は「マスクを外して大声で応援し、注意しても聞かない場合など、観客に退場を求めることも検討している」と説明。観客の飲酒に関しては「今後、政府のまん延防止措置でどうなるのか、などをみながら考えていく」とした。ただ、専門家会議で飲酒について懸念が示されていることには留意するとした。一方、観客に対し、入場の際に検査を行うなどの可能性については「スタジアムの入口で(検査などを)行うことは滞留を生むので機能しない」とした。

中村氏によると、きょうの会議で観客上限について具体的な意見は出なかった。上限を決めたとしても、その後の状況に応じて臨機応変に対応すべきとの意見があったという。

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