6月17日、今年2月の軍事クーデター発生後、いまなお武力衝突が続くミャンマーで、多くの市民が家を捨てて森林に流れ込み、ブルーシートでモンスーン(雨季)の雨露をしのぐ生活を強いられている。5月、カヤ州のキャンプで撮影。提供写真(2021年 ロイター)

アングル:戦闘続くミャンマー、避難民が森林に殺到 衛生悪化や食糧不足も

[17日 ロイター] – 今年2月の軍事クーデター発生後、いまなお武力衝突が続くミャンマーで、多くの市民が家を捨てて森林に流れ込み、ブルーシートでモンスーン(雨季)の雨露をしのぐ生活を強いられている。

森のあちこちには、数十人から1000人を超す規模の避難民キャンプが出来上がっている。東部カヤ州の戦闘から逃れてきたという人々は、食糧が不足し、疫病まん延の兆候があると訴えた。

「下痢に苦しんでいる子供たちもいる。清潔な水を手に入れるのが難しい。米や食糧を持って来られなかった人もいる」。そう話す26歳の男性は木の下の岩に張り渡した防水シートの写真を示し、「神に祈っている」と言葉を続けた。

国連の推定では、最近の戦闘で避難を余儀なくされたカヤ州の住民は11万人近くに上っている。

このほか、北部や西部で新たに発生している戦闘を逃れてきた人々を合わせると、クーデター発生以来、20万人近くの人々が自宅を追われた。これは、2017年に軍の迫害を受けたロヒンギャ族イスラム教徒70万人の大量脱出に次ぐ避難規模だ。

ロイターは軍事政権側にコメントを求めたが、接触できていない。

軍事政権は、新たに結成された「カレンニー国民防衛隊」などの反対武装勢力をテロリストとみなしている。

「カレンニー国民防衛隊」は先月から軍事政権側と戦っており、当初は軍側にも死者が出ていた。15日に地元住民の要望で一時的な戦闘停止を表明したものの、森林に避難している人々の多くは危険を犯してまで自宅に戻る意思をほとんど示していない。

カヤ州デモソ近くの村からきた男性は、「遠隔地の村の人々は停戦中に米や雑貨を取りに帰宅したが、大半は自宅にとどまる意思がない。自宅よりキャンプ地にいるほうが安全だ」と述べた。男性は、軍政への抗議デモに参加したとして軍から指名手配されている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)は15日の報告で、地元コミュニティを支援する内外の人道援助活動は必要を満たすに至っていないと指摘。「治安の悪化と道路封鎖で人道支援のためのアクセスに困難が生じている」とした。

一部の避難民は、暗闇にまぎれて住民の去った町や村から食糧を調達し、森に持ち帰ろうとするなどしているという。

カレン族の人権団体幹部は、少なくとも3人のボランティアが支援物資を持ち込もうとして殺害されたと明かし、「人口の3分の1が今は森林に逃れている。放置すれば多くの人命が失われる可能性がある」と述べた。

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