7月1日、米国は、中国が急速に核戦力を増強していることに懸念を示し、状況の不安定化を招く軍拡競争のリスクを軽減するため、米国とともに具体的な手立てを取るよう呼び掛けた。北京で1月21日撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

米、中国の核戦力増強を懸念 軍拡競争リスク低減へ協力呼び掛け

[ワシントン 1日 ロイター] – 米国は1日、中国が急速に核戦力を増強していることに懸念を示し、状況の不安定化を招く軍拡競争のリスクを軽減するため、米国とともに具体的な手立てを取るよう呼び掛けた。

国務省のプライス報道官は定例記者会見で、中国は核戦力の増強を隠すことがより困難になっており、数十年にわたる最小限の抑止力を基本とした核戦略から逸脱しているようだと語った。

中国が西部の砂漠地帯に新たなミサイル格納庫とみられる100以上の施設を建設しているという米紙ワシントン・ポスト(WP)の報道に関する質問に答えた。

プライス氏は「これらの報道やその他の動きは、中国の核兵器がこれまで予想されていたよりも急速に、より高いレベルまで増えることを示唆している」と指摘。

「この増強は懸念事項だ。中国の意図に疑問を投げ掛けるもので、われわれにとっては核リスクを低減するための具体的な手段を追求する重要性が高まっていることを示す」とし、中国に対し、「(状況の)不安定化を招く軍拡競争や潜在的な緊張のリスク軽減に向けた具体的な手段で、われわれと協力するよう促す」と述べた。

また、バイデン大統領がロシアのプーチン大統領との間で戦略的安定性を優先したのはこのためだとし、「同じ核保有国である中国との関係でも同じ理由が当てはまる」と説明した。

中国の習近平国家主席(共産党総書記)は1日、党創立100年を記念する式典で演説し、外国勢力による脅しや圧迫を決して認めないとしたほか、中国の軍事力を増強すると表明。台湾「統一」への意欲を示すとともに、中国の主権と安全保障を守りながら香港の社会的安定を維持すると表明した。

プライス氏は、習氏の演説での発言について米国は「留意」しているとした上で、「具体的なコメントはしない」と述べた。

米国防総省は2020年に議会に提出した報告書の中で、中国の核弾頭保有数について200個程度と推定し、軍備拡大・近代化に伴い、今後10年間で少なくとも倍増するという見通しを示した。

アナリストは米国の核弾頭保有数について約3800個との見方を示している。国務省のファクトシートによると、3月1日時点で1357個が配備されている。

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