毒グモから…心臓病の治療薬となりうる成分発見=豪研究

オーストラリアの研究者は、世界最凶のクモの1種である同国フレーザー島に生息する「フナクイグモ」の毒から、心臓発作による脳の損傷を抑制しうるタンパク質を発見した。

心臓病は世界の主要な死因となっており、日本においても第2位で、心疾患により年間20万人の命が失われている。

クイーンズランド大学の分子生物学研究所の研究者ネイサン・パルパント氏が率いるチームは、マウスでの実験を通じて、心臓発作の後にタンパク質「Hi1a」を投与すると、心停止後に細胞に送られる、心臓細胞を死滅させる信号を防ぐ可能性があることがわかった。

これにより、心筋梗塞脳損傷の可能性を大幅に減少することができるかもしれない。Hi1aは、フナクイグモの毒から検出された。

また、研究によれば、Hi1aはドナーの移植用臓器の保存にも、移植までの有効時間を延長することができるという。一刻を争う心臓発作への措置として、Hi1aは、患者の緊急治療に救急隊員が使用したり、心臓移植の成功率を高めたりすることができるようになる。

一方で、フナクイグモは、指の爪や薄手の靴さえも貫通する強力な牙を備えており、一部の科学者の間では「世界で最も危険なクモ」とみなされている。現地メディアによれば、オーストラリアでは過去100年の間に、この毒グモにかまれて26件の死亡事故が起きている。

この研究は、科学雑誌「Circulation」に掲載された。

(大紀元日本語ウェブ)