日本政府が原油価格上昇抑制の一貫として、国家備蓄の放出を検討していることがわかった。写真は、波方国家石油ガス備蓄基地に入港している大型タンカー。2013年8月、愛媛県今治市で撮影(2021年 時事通信)

日本が国家備蓄の放出検討、原油高騰抑制へ米と協調=政府関係者

[東京 22日 ロイター] – 日本政府が原油価格上昇抑制の一貫として、国家備蓄の放出を検討していることがわかった。米国などと協調して放出することで、市場への一定の影響を狙う。事情に詳しい複数の政府関係者が明らかにした。関係者の1人によると、政府は余剰分の放出は法的に可能とみている。

米国は石油輸出国機構OPEC)とロシアなど非加盟国でつくる「OPECプラス」に一段の増産を促してきたものの、OPECプラスは4日の閣僚給会合で増産を見送った。これを受け、米バイデン政権は日本、中国、韓国、インドに対し、石油備蓄の放出を検討するよう要請した。

岸田文雄首相は20日、訪問先の愛媛県松山市で、「日米や関係国との協調を前提としながら、法的に何ができるか、今検討を進めている」と話した。

政府関係者の1人はロイターの取材に対し、米国から要請があったとした上で、「何らかの対応を検討せざるをえない」と語った。

石油の国家備蓄は輸入量の90日分以上を保管することが法律で定められている。資源エネルギー庁によると、9月末時点で1日の消費量の145日分が国内にある。備蓄の放出は石油の供給が不足する事態や地震など国内の災害時に限定されており、価格上昇の対応策としての放出は想定されていないが、別の関係者によると、政府は余剰分の放出は法律の範囲内で可能とみて検討を進めている。

松野博一官房長官は22日午前の会見で備蓄放出について聞かれ、「何ら決まっていない」と答えた。

石油会社に義務付けられた民間備蓄は湾岸戦争や東日本大震災の際に放出されたことがある一方、国家備蓄を放出すれば初めてとなる。民間備蓄は9月末時点で90日分あり、こちらも法律で定められた70日以上を上回っている。

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