ミケランジェロによる彫刻 「ラ・ピエタ(憐れみ)」(Shutterstock)

【芸術秘話】ミケランジェロの少年時代(下)

ルネサンス期のフィレンツェの最大権力者、メディチ家はフィレンツェに安定と繁栄をもたらしただけでなく、芸術の発展にも多大な貢献をしました。特にロレンツォ・デ・メディチは彫刻と絵画をこよなく愛し、多くの古代芸術品を収集し、さらに、人文主義のプラトン・アカデミーを創設しました。当時、ミケランジェロは彫刻家、ベルトルド・ディ・ジョバンニ(Bertoldo di Giovanni)のもとで彫刻を学びました。

ミケランジェロは牧神の頭部の彫刻をモデルにして、大理石に彫刻をし始めました。これはミケランジェロの最初の彫刻でしたが、見事な彫刻が出来上がりました。ミケランジェロは原作を超えようと、口の中の舌や歯まで掘り出しました。これを見たベルトルドは舌を巻き、「古代では、完全な歯並びをしている人はあまりおらず、ほとんどの人は歯が欠けている」と微笑みながら指摘しました。これを聞いたミケランジェロは牧神の歯をいくつか砕き、そして、歯茎のところまで修正し、本当に歯が欠けているかのように見せました。

ミケランジェロの優れた技術を見たロレンツォは何度も公の場でミケランジェロを称賛し、全力で彼を育成することに決めたのです。その後、ミケランジェロはメディチ家に寄宿し、自分の部屋はもちろん、ロレンツォの家族や、他の貴族たちと同席することも許されていました。ミケランジェロはロレンツォが亡くなるまでの4年間メディチ家にいました。

ミケランジェロはずば抜けた才能と真剣な態度によって多くの貴族の尊敬と称賛を獲得し、同時に、ロレンツォのおかげで、生計に悩むことなく、優れた環境で成長していき、後の偉大な芸術創作のために固い基盤を築いたのです。

(完)

(翻訳編集・天野秀)

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