研究者たちは12年間かけて842名を調査し、食生活が認知機能の低下にどのような影響を与えるかを調べました。 (Lucigerma/Shutterstock)

新研究:認知症リスクを低減させる食事とは

植物由来の食事が、高齢者の認知機能低下や認知症のリスクを低減することが、新たな研究で明らかになりました。この研究は、『Molecular Nutrition and Food Research』誌に掲載されたもので、フランスの65歳以上の842名を対象に12年間行われました。

本研究では、食事成分の代謝、内因性代謝、腸内細菌叢と認知機能障害の関係を分析しました。研究者らは、認知機能障害のリスクにおける食事の役割を検討しました。血漿サンプルを調べたところ、ある代謝産物は認知障害や認知症の進行と関連し、ある代謝産物は予防効果を持つことがわかりました。

カカオ、キノコ、赤ワインに由来する代謝物と、リンゴ、緑茶、ブルーベリー、ザクロなどのポリフェノールを多く含む食品の微生物代謝の間には、保護的な関連性がありました。つまり、これらの食品は、高齢者の認知機能障害のリスクを低減するのです。

一方、人工甘味料によく含まれるサッカリンは、認知機能低下のリスクを高めるとされています。

クリスティーナ・アンドレス・ラクイヴァ(Cristina Andrés-Lacueva)教授は、「果物、野菜、植物性食品の摂取量を増やすことで、ポリフェノールやその他の生物活性化合物が得られ、加齢による認知機能低下のリスクを軽減することができます」と結論づけています。

 

ライフスタイルの変化

高齢化が進み、認知機能の低下やアルツハイマー病のリスクが高まる中、そのリスクを低減する方法を見つけることが重要です。認知症やその他の精神的な衰弱は、簡単な生活習慣の改善で予防や緩和が可能です。

多くの専門家は、地中海式ライフスタイルの実践が、認知機能低下の治療と予防に役立つと考えています。

野菜、全粒穀物、魚、オリーブオイルを重視することで知られる地中海食は、認知機能低下のリスクをおよそ45%から50%減少させることが分かっています。

つまり、野菜を多く含む健康的な食事をすることは、脳の健康を保つためにとても有効なのです。

(翻訳・井田千景)

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