マドリードで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(NATO.int)

NATO戦略概要、12年ぶり採択 深化する中露関係に危機感示す

北大西洋条約機構(NATO)は29日、スペインの首都マドリードで首脳会議を開き、連盟の新しい「戦略概念」を採択した。ロシアの侵略、中国が構成する体系的な挑戦、そしてロシアと中国の「深化する戦略パートナーシップ」を新たに加え、注視していくことを盛り込んだ。

NATOのストルテンベルク事務総長は29日、インド太平洋のパートナーとして初めてオーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国を迎えたことを歓迎し、「中国の主張の高まりとその強制的な政策は、同盟国とパートナーの安全に影響を及ぼしている」と指摘した。

また、「中国は核兵器を含む軍事力を大幅に増強している。隣人をいじめ、台湾を脅迫している。高度な技術を通じて市民を監視し、制御している。そしてロシアの嘘と偽情報を広めている」と非難した。

今回12年振りに改定された、セキュリティ課題を評価するNATOの戦略概要には、中国についての項目が加えられた。2010年のリスボンNATO首脳会議で採択された前回の概要には中国に関する項目はなかった。

NATOは戦略概要のなかで、中国の強圧的な戦術と同盟を分裂させる試みから身を守るために連携を強化し、同盟とパートナー国が「共有する価値観と航行の自由を含むルールに基づく国際秩序を守るために立ち上がる」と明記した。

中国とロシアの戦略的パートナーシップの深化と国際秩序を破壊する彼らの相互強化の試みは、「我々の価値と利益に反している」と指摘する。このほか次のような中国をめぐる問題点を並べた。

「中国の野心的で強圧的な政策は、我々の利益、安全保障、価値観に挑戦するものだ。中国の戦略や意図、軍備増強は不透明なままで、世界的に行動範囲を広げ、力を誇示するために政治、経済、軍事手段を用いている」。

「中国の悪質なハイブリッドおよびサイバー作戦、敵対的なレトリックと偽情報は、(NATOの)同盟国を標的にし、安全保障に害を及ぼしている。主要な技術 ・産業分野、重要インフラ、戦略物資、サプライチェーンを支配しようとしている。経済的な力を背景にして戦略的依存関係を構築し、影響力を強化している」。

「中国は宇宙、サイバー、海洋の各領域を含め、ルールに基づく国際秩序を覆そうと試みている」。

大国間競争が熾烈になる今日に発表されたNATO戦略概念から、NATOの団結と緊迫感に大きな変化があったことを示唆すると専門家はみている。

ウェルズリー大学の政治学教授のスタシー・ゴダード氏は「特にロシアと中国のパートナーシップを、既存の秩序への挑戦と見なしている」と米ボイス・オブ・アメリカの取材に答えた。

国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は28日の会見で、NATOの同盟国は「中国の不公平な貿易行為、強制労働の使用、知的財産権の窃盗、脅迫活動にますます懸念を強めている」と述べた。

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