なぜ石鹸で20秒手を洗うと細菌が死滅するのか?

トイレに行った後や病気の原因となるものに触れた後は、石鹸を使って20秒間しっかりと手を洗いましょうとよく言われていますが、では、なぜ石けんを使うと菌は死ぬのでしょうか?

カリフォルニア大学バークレー校の教授、内科医のリー・ライリー氏は、石鹸のバクテリアを殺す能力は、いわゆる「頭」と長い「尻尾」という分子構造に基づいていると言います。

この頭部は親水性で、尾部は疎水性、また脂肪と親和性があります。

 すべての細菌や、中共ウイルス(COVID-19)の原因となるCCAウイルス(ネオコナウイルス)など、一部のウイルスは脂質膜を持っています。

そのため、石鹸分子の尻尾に攻撃されやすく、尻尾がウイルスの脂質膜に突き刺さることで、バクテリアは死ぬのだとライリー氏は言っています。

病原菌の種類によっては細胞壁が非常に強く、石鹸分子の尾部が脂質膜に侵入しても大丈夫なものもありますが、石鹸分子は細菌やウイルスを包囲し、隔離するので倒すことができます。

同大学の名誉教授で感染症の専門家であるジョン・スウォーツバーグ氏によると、石鹸分子が病原体を攻撃するとき、その尾部は病原体の脂質膜に付着し、頭部は外側を向きます。すると、病原体の周りにミセルと呼ばれる小さな球ができると言います。

石鹸で手を洗うと、ミセルの外側が親水性であるため、菌やウイルスはミセルに捕まりやすくなります。 すすぐと、ミセルが菌やウイルスと一緒に洗い流されます。

スウォーツバーグ氏は、石鹸で雑菌を除去する鍵のひとつはタイミングだと言います。 石鹸分子の尾部が病原体と完全に結合するまでに少なくとも20秒かかるため、こする時間が短すぎると、石けんの保護力が損なわれてしまいます。

通常の石鹸は手に付着した細菌を除去するのに十分な効果があります。しかし、 抗菌石鹼は細菌を薬剤耐性のあるものにしてしまうので、洗い流された泡が排水溝に流れると、地域の水道水に耐性菌が出現してしまうとスウォーツバーグ氏は言います。

ライリー氏は、抗菌石鹸は、人々が健康でいるために頼りにしている善玉菌を含むすべての菌を殺してしまうのだと付け加えました。

翻訳:里見雨禾

陳俊村