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「民と富を共有する」モンゴルの帝王ーーオゴタイ(下)

モンゴル人にとって、水は草原を守る純潔な神です。そのため、モンゴルでは、川の中で体を洗ったり、ゴミや汚れたものを川に投げ捨てたりすることはタブーとされています。『長春真人西遊記』によると、水の神を冒涜しないよう、川の中で身体や手、服、物などを洗ってはいけない、金属器で水汲みをしてはいけないなどの禁忌が法律形式で定められていたといいます。

ある日、オゴタイは兄のチャガタイと狩猟に行った帰りに、ある回教徒(イスラム教徒)が川の中で身体を洗っているのを見かけました。チンギス・カンの命を受けてモンゴル帝国の法律「ヤサ」を管理していたチャガタイは、即座にこのイスラム教徒を殺そうとしました。しかし、そこへオゴタイが止めに入り、「明日、取り調べをして事情を明らかにしてから殺しても遅くはない」と言いました。

その晩、オゴタイは使いの者に命じ、1つの銀元宝をあのイスラム教徒が身体を洗っていた川へ放り投げさせました。そして、翌日の尋問の際には、「1つの銀元宝を川に落としてしまい、それが全財産であるため、仕方なく川に入り、銀元宝を探した」と答えるよう、そのイスラム教徒にこっそり伝えました。

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