台湾空軍のF5F戦闘機が離陸する様子。2022年7月6日撮影 (Photo by Sam Yeh / AFP) (Photo by SAM YEH/AFP via Getty Images)

中国軍、ペロシ氏念頭に圧力 台湾軍は「脅威に応じて適切に対応」

ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問の可能性が報じられるなか、中国共産党は台湾周辺の軍事的圧力を高めている。これに対し台湾国防部(国防省に相当)は4日の12時までを「戦備強化整備指導期間」と定め、中国軍の脅威に応じて適切に対応していくと発表した。

ペロシ氏の訪台を巡っては、中国共産党が反発を強めていた。7月28日に行われた米中首脳電話会談で習近平氏は「火遊びすればその身を焦がす」と述べ、対抗措置を辞さない構えを示した。

1日には中国軍のJ16戦闘機4機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したほか、2日早朝には駆逐艦1隻とフリゲート1隻が台湾南東部海域で確認された。また、ロイターの2日付報道によると、複数の中国軍機が2日午前に台湾海峡の中間線に接近して飛行した。防衛省も7月30日から1日にかけて台湾と与那国島間を通過した中国海軍艦艇の動向を確認し、報告している。

複数の台湾メディアの報道によると、台湾国防部は2日朝、陸海空軍に対し、同日8時~4日12時までを「戦備強化整備指導期間」と定めた。台湾海峡周辺の中国軍艦船の動向については完全に把握しているとし、中国軍の脅威に応じて適切に対応すると発表した。

台湾軍の態勢には平時の「経常戦備時期」と戦時の「防衛作戦時期」の2等級があり、脅威の程度に応じてそれぞれさらに細分化されている。台湾の聯合新聞によると、台湾軍の態勢は依然として平時のままだという。

台湾軍も「戦備強化整備指導期間」については、旧正月や重要な祝祭日、選挙期間と同等の態勢であると指摘した。

いっぽう、中央社の2日付報道によると、台湾南東部の空軍基地には10機のフランス製ミラージュ戦闘機が進駐した。また、1日には2機の対潜哨戒ヘリコプターが進駐している。

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