浜田防衛相は16日朝、米オースティン国防長官と電話会談を行った(防衛省提供)

浜田防衛相、米国防長官と電話会談 中国のミサイル発射を強く非難

浜田靖一防衛相は16日朝、米国のオースティン国防長官と電話会談を行った。日本の排他的経済水域(EEZ)を含む台湾周辺海域に弾道ミサイルを発射した中国を強く非難し、地域のいかなる事態にも対応できるよう日米の「緊密かつ隙のない連携」を図っていくことで一致した。

オースティン氏は冒頭、浜田氏の就任を祝い、日米同盟を強化するための相互コミットメントを確認した。浜田氏が、国家安全保障戦略等の策定を通じて防衛力の抜本的強化に取り組む決意を示すと、オースティン長官はこれを歓迎し、双方の戦略を擦り合わせていくことを確認した。

会談では、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に取り組んでいくことを確認したほか、北朝鮮情勢を踏まえて、日米韓の防衛協力の重要性について一致した。

米国防総省も日米防衛大臣の電話会談について報道官から声明を発表した。双方は「広い地域の安全保障と日米同盟について意見交換し、『自由で開かれたインド太平洋』を確保することを目的とした、一連の具体的で革新的な防衛イニシアチブに関する協力を確認した」と記している。

防衛省は同日、日米韓3カ国が8日から14日にかけてハワイの沖合でミサイル警戒演習「パシフィック・ドラゴン」を行い、ミサイル警戒及び弾道ミサイル探知・追尾訓練を実施したと発表した。日米韓の部隊は、日米韓防衛当局間情報共有取決めに基づき、戦術データリンク情報を共有したという。今回の演習は6月にシンガポールで開かれた日米韓防衛相会談を踏またもの。

浜田氏は10日の就任記者会見で、防衛力を5年以内に抜本的に強化し、「反撃能力」の保有も含めあらゆる選択肢を検討する考えを示した。将来にわたって日米同盟の優位性を確保すべく、宇宙・サイバーの領域や先進技術の分野で協力を拡大・深化させると述べた。

中国・台湾間の軍事バランスは「全体として中国側に有利な方向に変化」しており、中国の軍事動向は「安全保障上の強い懸念」であると指摘した。

超党派の国会議員による「日本の安全保障を考える議員の会」に所属する浜田氏は7月、石破茂衆議院議員(自民党)や清水貴之参議院議員(日本維新の会)らと台湾を訪問し、蔡英文総統、頼清徳副総統と面会している。

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