2021年3月17日、中国の半導体会社の工場で働く従業員(STR/AFP via Getty Images)

台湾当局、iPhone製造中国企業創業者を起訴 ダミー会社で企業買収

台湾検察当局はこのほど、台湾企業をひそかに買収し企業機密を盗んだとして、中国の電子機器受託製造サービス(EMS)大手「立訊精密工業(ラックスシェア)」の創業者・王来春氏を起訴したことがわかった。

起訴状によると、王氏は2012年に香港のペーパーカンパニーを通じて、台湾の電子部品企業スピード・テック(宣德科技)の株式を秘密裏に取得した。米ブルームバーグ1日付が伝えた。

中国企業は台湾でビジネスを行う場合、規制当局の事前審査が必要となるため、香港企業を装うことで審査を回避したとみられる。

米アップルのiPhoneを組み立てている同社は2004年に設立され、中国の深圳市に本社を構える。王来春氏は「フォーブス中国」の傑出した女性実業家トップ5に選ばれている。

ロイター通信によると、台湾新北市の検察当局は先月、同社従業員14人を起訴した。台湾の企業機密を盗み、米アップルの受注を手に入れるために台湾企業の担当者を買収したためだ。

検察当局者によると、1年以上にわたる調査の結果、立訊精密工業はライバル企業である可成科技の研究開発チームの幹部を高給などで勧誘し、可成科技の企業秘密を盗むなどして、同社に「大きな損失」を与えた。

米中関係が悪化するにつれ、米国政府は半導体など中国への技術輸出規制を強化した。最新技術を入手するため、中国企業は台湾の技術者を従来の2〜3倍の高給でスカウトしている。

台湾政府は、技術者の中国流出に警戒を強めている。台湾立法院は今年5月、国家安全法を改訂し、経済スパイ罪を新設し、半導体など台湾の核心的技術を盗み、持ち出す行為に最高12年の懲役を科すとした。「両岸人民関係条例」も改正し、中国大陸に赴任などをする場合に審査委員会の事前の許可が必要であると規定した。

(翻訳編集・李凌)

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