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全国人民代表大会(全人代)【現代中国キーワード】

全国人民代表大会

全国人民代表大会は「全人代」とも呼ばれる、中華人民共和国の立法府である。国家主席・副主席のほか、国務院・国家中央軍事委員会・最高人民法院・最高人民検察院の構成員も、この全人代によって選出される。

この会議に参加する人民代表(議員)の定数は2980名で、省・自治区・直轄市・特別行政区の人民代表大会および中国人民解放軍から選出される。

一般国民(公民)は、地方組織である県級以下の人民代表大会の候補者にしか投票できないため、北京の全人代へ行く代表の選出には関与できない。なお地方組織もふくめて、形式上の選挙はあるが、実質的には党が指名した候補者ひとりに対する信任投票になるケースが多い。

この全人代について、日本語の紹介としてよく「中国の国会に当たる」という枕詞がつけられるが、これは正確な説明ではない。「日本の国会」に相当する議会制民主主義は、中国に存在しないからである。

中国には、中共以外の少数政党もある。しかしヘゲモニー政党制であるため、中共に対立する野党はなく、反対討論は行われない。提示された議案や予算案について、人民代表が机上の押しボタンで承認する「形骸化した民主主義」が、北京の人民大会堂で行われるだけである。

いずれの人民代表も地元に自分の仕事があるため、専業の「政治家」はいない。それでも、はるばる地方から上京する人民代表にとっては、公費を使って北京で宿泊と飲食ができる良い機会になっている。

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