自民、公明両党が16日決定する2023年度税制改正大綱案が判明した。写真は、自衛隊のうずしお型潜水艦。2022年11月6日に神奈川県横須賀市沖で撮影。(2022年 ロイター/Issei Kato/Pool)

防衛力強化で安定財源確保=23年度与党税制改正大綱案

[東京 16日 ロイター] – 自民、公明両党が16日決定する2023年度税制改正大綱案が判明した。焦点となる防衛財源では「歳出・歳入両面から安定的な財源を確保する」とし、増税について「27年度に向けて複数年かけて段階的に実施し、27年度に1兆円強を確保する」と明記。税制措置は「24年以降の適切な時期とする」としている。

ロイターが案文を入手した。増税は法人、所得、たばこの3税目とする。法人税額には「税率4―4.5%の新たな付加税を課す」とし、中小法人に配慮する観点から「課税標準となる法人税額から500万円を控除する」ことも併せて盛り込む。

所得税額に対しては「当分の間、税率1%の新たな付加税を課す」とする。

一方、現下の家計を取り巻く状況に配慮し、「復興特別所得税の税率を1%引き下げるとともに、課税期間を延長する」と明記。延長期間に関しては「復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとする」と記す。

与党大綱では、廃炉や特定復興再生拠点区域の整備、特定復興再生拠点区域外への帰還・居住に向けた具体的な取り組みや福島国際研究教育機構の構築など息の長い取り組みを支援するため、東日本大震災からの復旧・復興財源について「引き続き責任を持って確実に確保する」との考えも示す。

たばこ税については「3円/1本相当の引上げを、国産葉たばこ農家への影響に十分配慮しつつ、予見可能性を確保した上で、段階的に実施する」としている。

<資産所得倍増へNISA拡充>

岸田政権が「資産所得倍増プラン」の柱に掲げるNISA拡充では年間投資枠を360万円に引き上げ、非課税期間を無期限とする。積み立て型の「つみたてNISA」は現行の年間投資枠の3倍となる120万円に拡大。一般型は2倍の240万円とし、無期限に非課税とする。生涯の課税限度額は1800万円に引き上げる。

一方、年間所得1億円超で税負担が下がる「1億円の壁」を是正するため、所得が30億円を超える超富裕層に対する課税強化を明記した。

多国籍企業の最低税率を15%とする国際合意に基づき、24年度から新制度を導入することも盛り込む。経済協力開発機構(OECD)加盟国などが合意した「グローバル・ミニマム課税制度」を踏まえ、対象会計年度直前の4対象会計年度のうち、2つ以上の対象会計年度の売上高が7億5000万ユーロ以上だった企業を「特定多国籍企業グループ」と定義。法人税負担に不足があれば本国で課税する。

自動車関連では、重量税のエコカー減税を23年末まで延長する。そのうえで35年に新車販売の100%を電動車とする目標を見据え、24年以降は段階的に燃費基準を引き上げる。

山口貴也

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